■「悪口を言っていた人の名前は伏せて、標的にされた人の名前を伏せないことが引っかかっていた」
X(旧:Twitter)に「ネット記事の記者がアナログな炎上を体験する話」というコメント付きで投稿された本作は、「世にも奇妙な物語×少年ジャンプ+ presents 『奇妙』漫画賞」の最終候補まで残るなど高く評価された。
本作を描いたきっかけについて、森本大百科さんは「業界関係者が書いたネットニュースの記事で『人の悪口を聞いてしまって腹がたった』という内容のものを読んだのですが、悪口を言っていた人の名前は伏せて、悪口の標的にされた人の名前を伏せていませんでした。
その記事のせいで“聞かなくていい悪口が、本人に届いてしまうやんけ”と、ずっと引っかかってました。それをアナログに置き換えると、と考えた結果、この漫画が生まれました」と、自身が目にしたSNS上での「ボヤキ」がきっかけとなったことを明かす。
主人公をネット記事の記者にした理由を尋ねると、「被害に遭う主人公を誰にしようかと考えた時、普段ネット記事で人のことを悪く書いてる男が分かりやすくて、良いフリになるかなということで記者の投稿から始めました」と告白。実際、無用な炎上の火種を生んできた彼がターゲットとなる様子は、恐ろしくも「因果応報」という感じがしてしまう。
日々繰り返される炎上だが、小さな火種に薪をくべて燃え上がらせているのは、本作の主人公のようなメディア側なのか。それとも、そうした「炎上案件」に即座に反応し、関係ないことにも怒りを表明する読者側なのか。本作を通して今一度考えてみてほしい。
取材協力:森本大百科(@mdaihyakka)