災い転じてなんとやらか。23日に都内の貸会議室で開催されたお笑いコンビTKOの木本武宏(51)による記者会見。投資トラブルで、芸能界から遠ざかっていた木本は約1時間の会見で事情説明と謝罪を繰り返した。その後、2020年にパワハラ疑惑が発覚した相方の木下隆行(51)が「もうひとりの問題児です」と入ってきて、約3年ぶりにコンビで並ぶと、会見場の雰囲気が一変。
「なんで(自分に投資話が)ないの? 逆に」と、木下は言い、「なんでなんですかねえ、いい化粧水を勧めたことはありましたけど」と木本が首をかしげると会場からは笑いが巻き起こった。
木下になぜ投資話を持ちかけなかったのか、続けて木本はこう答えた。
「それは、そういうのに興味ない人には『こんなん、やらへんか』とか向けない。そこだけは決めていたんです。相方は特に興味なかったんで。興味あるのは、化粧水の話だけ」
その後はコンビ名のTKOを「とにかく、苦労してる、おっさん」と自虐的に訳しつつ、活動再開への強い思いを口にした2人。会見後は新たにホームページを開設、「お仕事、その他のお問い合わせはこちらのサイトよりお願いいたします」とPRするとともに、2月5日のトークライブを告知。それぞれの騒動によって松竹芸能を退社した2人はフリーでの活動となり、専属マネジャー探しから始めていることを明かした。
「そもそもは木本の投資トラブルの釈明会見で報道陣も身構えていましたが、どんな質問にも真摯に対応し、いつのまにやらTKOの復活会見になっていました。パワハラ問題でテレビを追われた木下も復活という一石二鳥をやってのけました」(芸能リポーター)
将来への不安が投資話に
昨年7月に報じられた投資トラブルについて木本は「おいしい話なんて、この世にない」と総括、投資に走った経緯についてこう語った。
人気商売で浮き沈みの激しい「水もの」の芸能界だけに、生活や将来への不安を払拭するため、収入の柱をもうひとつ増やしたかったと。それが仮想通貨に興味を持ったコトのはじまり。2017年のことで、投資によってリターンを手にして、資産が増える高揚感にのめり込み、後輩芸人や芸能関係者ら10人以上を巻き込み、自称デイトレーダーAと後輩Bの不動産投資話に計約7億円もの投資を依頼してしまった。しかし、話は宙に浮いたままで、返済を求めたが、途中から連絡不通となって4.5億円もの大金が回収できない状況になっている。
「反省と後悔のなか、相手を恨み、自分を責めましたけど、まずは(投資した人たちに)お返しすべきと腕時計や車、洋服、家財と、お金になるものはほとんどかえました」
さらに建物のメンテナンスであったり、映像の編集のアルバイトをしたりした。また協力者もあって、現在の借金は3分の1程度。夏ごろまでに解決のメドがついたとする一方、「(後輩Bからの)返済がなくなった時点で刑事告訴の手続きをします」と語った。
木下まで完全復活
そうしたトラブル処理の過程で、真っ先に辞めたいと思った芸人としての熱意が戻り、今はコンビを復活させ何とか続けたいと思うようになったという。
「不祥事コンビで全国のライブ会場を回らせてもらったり、とにかく(舞台の)板の上に立たせていただきたい」と決意をあらたにしたTKO。二度と怪しい投資話には手を出さないと誓ったが、講演で失敗談を語るオファーが来たら、ぜひともと木本は目を輝かせた。
謝罪からはじまった記者会見は、1時間とのアナウンス通りに終わったものの、その直後からの木下登場で第2ラウンドに突入。さながら復帰会見へと雰囲気が変化した。最後は久しぶりの拍手と笑いに包まれた2人は内心、してやったりだったかも知れない。