NHKは先月30日、2023年度予算に同局を所管する総務省が認可していない不適切な費用約9億円を盛り込んでいたと発表。インターネット配信サービス「NHKプラス」にBS番組を加えるための設備調達予算。同省が定める「インターネット活用業務実施基準」はNHKプラスに配信できる範囲を地上波番組に限っている。BS番組を配信するにはこの基準の変更が必要だった。
不適切予算の計上は前田晃伸前会長時代の昨年12月、予算説明の場である理事会を経ずに一部役員の稟議(りんぎ)で決定した。
稲葉会長は「そもそも衛星放送の配信は経営として決定していませんし、予算、事業計画に含まれていませんでした」としたうえで「予算、事業計画に含まれていないものを稟議にかけることはありません。にも関わらず、稟議が進められてしまったことは不適切だったと言わざるを得ない」と説明。「こうした事案が発生したことにつきまして、会長として重く受け止めます。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
さらに「今回のことは公共放送のガバナンス上、あってはならないこと」ととしたうえで「再発防止に全力で取り組んでまいります」とした。
これを受け、「NHKプラスにおける衛星放送番組の配信対応整備」に関する再発防止について、21日付けで外部の複数の支店を取り入れ、会長直属のアドバイザーとして委員会を設置すると発表。稲葉会長は「7月末までに再発防止策をまとめたい」と意欲を見せた。
平松剛実氏(西村あさひ法律事務所・弁護士)を座長としたNHK執行部ガバナンスプレデューに関する専門委員会は柿澤寿信氏(立命大共通教育推進機構准教授)、齋藤卓爾氏(慶大景観里研究科教授)、船木夏子氏(監査法人トーマツ・公認会計士)で構成される。協会の意思決定のあり方、稟議規定など、各種規定のあり方、組織風土ほか関連事項についてを話し合うという。