会見には、スウェーデンのポップグループ「ABBA」のメンバーであり、2020年5月からCISACの会長に就任したビヨルン・ウルヴァース氏も来日。ウルヴァース氏は、ABBAの作曲活動に勤しんでいた1970年代当時の話から切り出し、著作権をはじめとする創作物にまつわる権利の重要性を語りながら、配信リリースが主流となっている現在のシーンを危惧した。
そして、JASRACが昨年10月から正式始動させた楽曲情報管理システム『KENDRIX』や、韓国や台湾、東南アジアなどの音楽著作権管理事業者との間で海外楽曲の作品情報などを共有できるシステム『GDSDX』の開発について評価し、「我々ができることは、クリエイターに参画を奨励し、体制づくりや規制を敷いていくことだ」と力を込めた。
記者からAI技術への規制の可能性について聞かれると、ウルヴァース氏は「非常にエキサイティングであり、恐ろしいものであり、そしてすでに始まっていること」とし、「近い将来、AIが1曲丸ごとを作詞作曲するようになるか、もしくは作曲家を助けるためのツールとして使われるか、そのどちらかだと思う」と予想。そして「AIがいい曲を書くようになれば、それを受け入れるしかない。作曲家という職業は今後も存在し続けるだろうが、時代遅れになるかもしれない」と語った。
続いて、「コピーライトとAI技術を両立させることは非常に難しい」と言いつつ、「さまざまな場で議論が行われているが、AIが楽曲を作った場合、そのソースはどこなのかを完全に把握するのは不可能に近い。しかし、目の前に迫っている問題だ」と伝え、CISACとしても議論を続けていくとした。