同事業は、2010年の着想から約15年にわたって進められてきたプロジェクト。森岡氏は「ただ沖縄にテーマパークができるということだけを目的とした事業ではありません。沖縄の観光だけなく、日本の観光だけでもなく、日本の産業構造にまで影響を及ぼすことができないかと思っています」と未来を見据える。
森岡氏は沖縄北部が持つ観光的魅力として、2021年7月にユネスコ世界自然遺産に登録された「やんばるの森」を挙げる。そして、同社では沖縄の植生を“やんばる”と定義した上で、「都会では得られない、やんばるの大自然の中だからこそ得られる体験」を提供するべく、テーマパークのコンセプトに「Power Vacance」を掲げ、施設名を「JUNGLIA」と名付けた。
今回発表されたテーマパークは、“やんばる”の森の中に誕生。「原生林の木々を大切に移植している。関係各所と自然負荷の少ない方法を探りながら、じっくりと開発を進めています」と説明し、「もちろん構造物やハイテクも使っていますが、鉄骨やコンクリートむき出しの世界観を提供するのではなく、あくまでも自然の力、絶景を体験していただくパークになる」と紹介した。
発表会では、刀社のエグゼクティブ・ディレクターで、ジャパンエンターテイメント社CMOの森崎菜穂美氏から、パーク全体のエリアマップに加え、地元の食材を用いた食事や温泉施設、気球での遊覧飛行など数十のアトラクションを用意されることも明かされた。
森崎氏は「バーチャルリアリティーなどの技術をメインにするのではなく、自然の魅力やそれを体感するお客様の興奮の背景になるように活用している」と念押しし、「興奮とぜいたく、開放感が本能を貫き、人生最高に心がたかぶる瞬間をお届けできると思います」と胸を張る。
開業時点での敷地面積は60ヘクタール。しかし、施設の敷地内には未開拓のエリアも残し、施設外にはパーク全体の面積と同じ広さのエリアも用意されているという。森崎氏は「『JUNGLIA』はオープン以降も進化していきますので、ご期待ください」と呼びかけた。
森岡氏は「日本の産業構造に影響を及ぼす」という点にも言及。現在が日本の産業、経済における過渡期であるとし、同施設でのビジョンを“変化の起点”と位置付ける。同プロジェクトの経済効果の大きさや、雇用創出力の高さをアピールしながら、「より多くの笑顔が『JUNGLIA』で生まれ、より多くの人が誇りを持って働くことができる。そして世界中からの注目を集めることで、地元の方々も誇れるパークとなるように取り組んでいきたい」と力を込めた。
さらに「沖縄はハワイなどと比肩するポテンシャルがあると思います。ただ、圧倒的に観光コンテンツが少ない。『JUNGLIA』への来場者を増やしたいと思いますが、同時に近くにある美ら海水族館にもお客さんが行ってくれたらうれしいですし、沖縄全体への旅行者が増えるように働きかけていきたい。そして沖縄を拠点とした日本の観光産業が、未来の子どもたちに残せる産業として力を持てるようにしたい」と大局に目を向けた。