NHKの稲葉延雄会長が5日、参院総務委員会に参考人として、出席。NHKプロデューサーの横領事件のてん末や紅白歌合戦に旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)のタレント出場が見送りとなった経緯や選考基準などに答えた。
質問に立った参院会派「NHKから国民を守る党」の斉藤健一郎参院議員は2004年に発覚したNHK紅白チーフプロデューサーによる約1億4000万円の巨額横領事件を取り上げた。
NHKはこのチーフプロデューサーに民事訴訟を起こし、約1億2500万円の支払いが確定。斉藤氏から回収がどうなったかについて尋ねられた稲葉氏は「不動産、金融資産、就労状況などを徹底的に調査いたしまして、およそ6700万円を回収したが、これ以上の回収見込みが立たなくなり、被害総額のおよそ1億2500万円を償却処理した」と全額回収はできなかったという。
そのうえで斉藤氏は今年の紅白に旧ジャニーズ事務所のタレントが44年ぶりにゼロになったことで「ファンの反応、出場者をどのように決定しているのか、不正に選考された事例があったのか」を質問した。
稲葉氏は「旧ジャニーズ事務所に所属するタレントの出場は被害者への補償や再発防止の取り組みが着実に実行されていることが確認されるまで当面行わないという方針。視聴者の皆様からは肯定的なご意見、否定的なご意見、さまざまなご意見がある」と賛否が分かれているという。
紅白出場歌手の選考に関しては「今年の活躍、世論の支持、番組の企画編集、3つの観点からさまざまな調査データをもとに総合的に判断し、紅白歌合戦の制作担当者が決定している。出場者選定に関して、これまで不正行為等はないと認識している」と回答。
これに斉藤氏は「実際問題、世間でもさまざまな賄賂を受け取った話などを聞くところにある。ウワサがあるならば内部でしっかり調査していただきたい」と要望した。