俳優の小栗旬が鎌倉時代の第2代執権・北条義時を演じるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜・後8時)の第26回「悲しむ前に」(3日放送)で、源頼朝(大泉洋)の後継ぎをめぐり、鎌倉が真っ二つに割れる。
頼朝の体調が思わしくない中、御家人の関心事は“次の鎌倉殿”に。頼朝の嫡男・頼家(金子大地)なのか、弟・全成(ぜんじょう、新納慎也)なのか。頼家の妻は比企家で、全成の妻は北条家。「比企能員(佐藤二朗)VS北条時政(坂東彌十郎)」の構図が明確になる。
現代でも政治やビジネスの世界でよく見られる光景。振り返ると室町時代の応仁の乱も、関ヶ原の戦いも、権力者の死後に起こる覇権争いが発端だ。歴史は繰り返すから面白いのだろうか。義時が頼朝から学んだ処世術をどう使っていくのかが見どころになる。放送も約半分が終了。ドラマのタイトル通り、13人の生き残り合戦が始まる。
前週の第25回「天が望んだ男」(6月26日放送)では、頼朝が馬から転落した。従者の安達盛長(野添義弘)に向かって「初めて北条の館に来た時…」と話しながらろれつが回らなくなり、手が震えて落馬。頭も強打した。頼朝には前から鈴の音のような空耳が聞こえており、脚本の三谷幸喜氏は取材会で「脳いっ血の症状の一つ」と説明していた。頼朝の死医については原作とされている史料「吾妻鏡」にも詳しく書かれておらず、病死説や落馬説など諸説ある。どちらとも取れる描き方だった。
ただ鈴の音には続きも。頼朝が倒れた際にも音が鳴り、妻の北条政子(小池栄子)、和田義盛(横田栄司)、梶原景時(中村獅童)ら周囲の者にも聞こえて皆がハッとする。三谷氏は「その時、みんなが何をしていたのかを描きたかった」と意図を明かす。
だが、義時には音が聞こえていなかった。SNSでは「義時だけ鈴の音が聞こえなかったのは何で…?」「鈴の音が野心家達に吉報を知らせている」「鈴の音は権力闘争開始のゴングでは…?」などの憶測を呼んでいる。番組関係者によると「台本には『虫の知らせ』と書いてあるだけで、義時の部分にはありませんでした」とのこと。三谷氏は取材会でも特に言及せず、何かの伏線なのか、たまたまなのか視聴者の解釈次第になりそうだ。
第25回の平均世帯視聴率は12・2%で前回よりやや持ち直した。同時間帯ではテレビ朝日系「ポツンと一軒家」の14・5%に次ぐ数字。いよいよ始まった後半戦。13人が次々に減っていく様子を固唾(かたず)をのみながら見守りたい。
(NHK担当・浦本将樹)
※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区