嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍の徳川家康を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第33回「裏切り者」(27日放送)で家康の重臣・石川数正(松重豊)が、徳川家と豊臣家とのはざまに揺れる。
「小牧・長久手の戦い」で家康は秀吉(ムロツヨシ)に勝利。だが秀吉は、家康の上にいる総大将・織田信雄(浜野謙太)を丸め込み、和議を進める。さらに朝廷も秀吉を関白に任命。戦に勝ったはずの家康より、秀吉の方が勝者のような様相に。大切なのは力だけではない。戦いに負けたが勝負に勝つとはこういうことかと思わされる。
苦労するのが数正だ。戦の和議交渉や、関白就任祝いなど、いつも秀吉のもとへ使いにやられる存在。遠く三河の国で血気盛んな一大名・家康と違い、関白となった秀吉が大阪で蓄える兵力と財力を目の当たりにする。家康に秀吉の恐ろしさを伝えるものの、秀吉が憎い家康の耳には届きそうにない。いつの時代も上司との向き合い方は難しい。
前週の第32回「小牧長久手の激闘」(20日放送)では、戦いの詳細が描かれた。秀吉軍約10万のうち、池田恒興(徳重聡)率いる別動隊が岡崎を攻撃しようと画策した。家康側は城のまわりに堀を作り続けていたが、それは秘密通路。榊原康政(杉野遥亮)がこっそり堀を通って別動隊を壊滅させ、家康軍に勝利を呼んだ。
活躍した徳川四天王(酒井忠次、本多忠勝、榊原康政、井伊直政)も改めて紹介された。特に名高いのは先端に止まったトンボが真っ二つに裂けたとされるヤリ「蜻蛉切」を持ち、合戦では一つの傷を負わなかったとの伝説を持つ忠勝(山田裕貴)。今作では、血まみれになりながらも、山田が「かすり傷一つ負っておらぬ」と強がるのがお約束になっている。
最強の割に山田も細身の印象。ただ番組関係者によると、忠勝本人も「肖像画を何度も何度も描き直させた」という一面があり、実際の忠勝も同じようなキャラクターだったのかもしれない。ちなみに同回でも、槍の先に止まったトンボはそのまま飛び立っていた。ネットでは「切れてないじゃん笑」「こういう芸コマな所良いよね」と現実的な演出を喜ぶ声も。
当初はポンコツ集団のようだった彼らも、周囲にもまれて生き延びるうちに今や最強の4人。秀吉も「信長様のせいだわ。徳川をさんざんこき使って、とんでもねえ軍勢を育ててまった…」と感嘆した。SNSでも「徳川四天王カッコイイわー」「演出かっこよすぎて痺れた」と絶賛の声が相次ぐ。
第32回の平均世帯視聴率は10・2%で微増。ライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」の14・9%に次ぐ数字だった。今後、秀吉はますます憎らしく、豊臣家との争いは終盤まで続く。織田信長(岡田准一)とやっていたようなぶつかり合いもあるのか。描かれ方に注目したい。