NHKのインターネット業務のあり方を有識者が議論する総務省の作業部会は29日、放送番組の配信などネット業務を放送と並ぶ「必須業務」に格上げすべきだとの意見を取りまとめた。31日に開かれる総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」に報告する。
放送法ではテレビがあれば受信契約義務を負う。NHKの番組は受信料で制作されており、負担した視聴者向けであることが前提だ。一方、番組配信などのネット業務は放送を補完する「任意業務」と位置付けられている。これを必須業務化して、テレビを持たない人も地上波番組をスマートフォンなどで視聴できるようにする。衛星放送番組などについては年内をめどに結論を出す。
取りまとめでは、利用者には相応の費用負担を求めるとした。ただし、アプリをダウンロードして個人情報を登録するなど視聴意思が明確になった時点で料金が発生するようにする。
配信は放送番組と同じ内容を基本とし、文字情報などについては、国民の生命・安全に関わる緊急度の高いものや、番組に密接に関連するものなどに限定する。その上で、これら配信範囲について第三者機関がチェックする仕組みを作る。
作業部会の意見取りまとめに対し、日本新聞協会メディア開発委員会は29日、「ネットからも費用負担を求めるという受信料の根幹に関わる提言がなされたが、制度のあり方について根本的な検討はされていない。検討すべき課題が山積する中での取りまとめは遺憾だ」とのコメントを発表した。