■口論の夜、眠れない花江は…
「虎に翼」は、日本初の女性弁護士の一人・三淵嘉子さんをモデルにしたオリジナルストーリー。第15週「女房は山の神百石の位?」では、寅子が家族との間にできてしまった溝に悩む展開が描かれている。
異動先の新潟に娘・優未(竹澤咲子)を連れていく、と言う寅子に、「トラちゃんは何もわかってない」と強い言葉をぶつけ、泣き崩れた花江。続く第73回では、花江が口論のあと、子どもたちの寝顔を見ながら眠れない夜を過ごす姿が描かれた。うつむきがちで、表情が晴れない花江。高ぶった感情を落ち着かせるように、一点を見つめるばかりだ。
■雄弁に語る、花江の一瞬の表情
翌朝には気持ちを切り替え、寅子に「トラちゃん、おはよう。ずいぶん早いのね」と声を掛けるいつもの花江がいた。だが、寅子がそそくさ出かけていく後ろ姿を見送ると、花江はギューッと目をつぶり、苦い顔。
新潟への異動を聞いて真っ先に家族全員での引っ越しを考え、口論の翌朝も何でもないふうを装って自分から寅子に「おはよう」と声を掛ける、そんな家族を大切にする花江のやるせない思いが一瞬の表情に垣間見える。
72回とは打って変わって、言葉と涙の激しい感情の発露ではなく、繊細な表情を見せた花江に、視聴者からも「花江ちゃん、本当に好き。セリフがなくても表情で全部伝わる」花江ちゃんの絶妙な表情がいい。よそ見できない朝ドラ」といった声が上がり、演じる森田にも「いろいろな感情を宿した複雑な表情がすごい」「記憶に残る演技をする女優さん」「感情の変化が表情で伝わってくる。森田望智さん、演技うまい!!」といった絶賛の声が飛び交った。
■何もかもうまくいかない寅子
一方、寅子は“泣きっ面にハチ”状態。家族との溝を突きつけられ、後輩たちが寅子を批判する言葉を聞いてしまい、挙げ句、調停を受け持った瞳(美山加恋)からは言われない怒りをぶつけられてしまった。寅子のためとはいえ、梅子(平岩紙)からやんわり「これから改めれば問題ないわ」と寅子自身に非があることを示唆されたのも、地味に効いているはずだ。
寅子の前には、課題が山積み。家族との絆を取り戻す第一歩として、新潟への引っ越しにあたり優未を連れていくか残していくかの決断が差し迫っている。寅子はここで自分のこれまでを見つめなおし、家族との絆を取り戻すことができるのか。