■超えられない「190ワットで50分間」の壁
テスト飛行でパイロットの由良冬子(吉谷彩子)が大ケガをしたことにより、パイロット不在となってしまった人力飛行機サークル「なにわバードマン」。第5週では、部員の中で最も由良に体格が近い舞が新たなパイロットとして2か月後に迫った記録飛行にチャレンジする姿が描かれた。
課された目標は、5キロの減量と“190ワットで50分間ペダルをこぎ続けられる”体力。無謀ともいえる挑戦に全力で取り組む舞と、一丸となって飛行機の修理に打ち込む部員たち。反対していた設計担当・刈谷(高杉真宙)も彼らの熱意に負け、戻ってきた。
だが、肝心の結果が思うようについてこない。記録飛行当日まで残り1か月を切って、舞の体力は190ワットで29分間が限界。刈谷は目標を、負荷がやや少ない“180ワットで60分間”に変更し、飛行機を設計しなおすことを決めた。
■「たくましく生きるとぞ!」
「舞いあがれ!」のタイトル通り、第2週から今週まで毎週クライマックスに“飛ぶ”シーンが置かれ、舞の大空への強い憧れが繰り返し描かれてきた。
第2週、幼少期の舞(浅田芭路)が五島で出合ったのが「ばらもん凧」。第2週クライマックスでは2mの大凧が舞いあがる映像をドローンで上空からとらえた撮影手法も話題になった。
このシーンは舞が“飛ぶこと”への思いを強くしたきっかけであり、「舞もばらもん凧ごたぁ、どがん向かい風にも負けんとたくましく生きるとぞ!」という祖母・祥子(高畑淳子)の力強い言葉も胸を打った。
五島からの帰りに初めて飛行機に乗り、「飛行機すごいなぁ!」と、飛行機への情熱もはぐくみ始めた舞。第3週では、会社の経営難で苦しむ父・浩太(高橋克典)を励まそうと、模型飛行機づくりに没頭。クライマックスでは、舞が自分なりに知恵を絞って作り上げた模型飛行機が空に舞いあがった。
第4週からは、大学生になった舞の物語。第4週のクライマックスは、由良が乗った人力飛行機のテストフライトシーンだ。朝日を浴びてふわりと舞いあがった「スワン号」の雄姿は神々しかったが、機体はすぐに地上に叩きつけられた。空を飛ぶことの難しさ、向かい風の過酷さも描かれた、厳しいクライマックスとなった。
そして第5週では、舞がパイロットに名乗りを上げた。舞の思いが飛行機を“作りたい”から“乗りたい”へと変化し、大空への憧れがより明確に描かれるようになった。そのクライマックス、テスト飛行で機体に乗り込んだ舞が「飛んでる…」と感動の声を上げるシーンは、飛ぶことへの憧れを育ててきた舞にとって、一つの到達点。ここからは、もっと明確にパイロットを志す舞の物語へと進んでいく。
■舞、向かい風に負けないたくましさを蓄える
空を飛ぶには、強い“向かい風”と、その風に負けないたくましさがなければならない。ここまで1か月間で描かれたのは、舞がそのたくましさを蓄えていく物語だ。
原動力は、空を飛ぶことへの強い憧れ。第24回で、悩む舞に由良が掛けた「自分、空飛ぶんやろ? 飛行機は向かい風を受けて、高〜く飛ぶんや」が印象深い。
ネジ工場を経営する浩太も「飛行機に乗せるネジを作る」という夢を持つ。その目線の先にあるのは舞と同じ、大空だ。そういえば舞がアルバイトするカフェ「ノーサイド」のモチーフであるラグビーも、貴司(赤楚衛二)の実家のお好み焼き屋夫婦がハマる野球も、大空に舞いあがったボールを見上げるシーンが印象的なスポーツだ。
サークルの仲間たちの思いを一身に受け、舞は記録飛行に向けてますます過酷なトレーニングに打ち込んでいく。11月7日(月)からの第6週「スワン号の奇跡」では、舞を少しでも長く飛行させるために部員たちが機体をさらに改良することに。そして、ついに記録飛行の日が来る。(文=ザテレビジョン)