デビュー50周年を迎えた歌手の郷ひろみ(67)が26日、東京・北の丸公園の日本武道館で50周年記念コンサートを行い、自身最多の50曲を歌唱した。
4〜10月までの全国ツアー(72公演)、12月のファイナルカウントダウンツアー(11公演)を終え、50周年の締めくくりとなる記念コンサート武道館公演は、55歳の誕生日を迎えた10年10月18日以来12年ぶり。50周年のメモリアルイヤーの締めくくりを、郷はド派手なチャレンジで彩った。
「50曲歌うのは最初で最後のつもり。僕のすべてをかけて50曲をお送りしたい」と話すように、最新曲の「ジャンケンポンGO!」で幕を開けると、立て続けにアップテンポなダンスナンバーを披露。全力ダッシュや火柱を浴びる演出など最初からトップスピードで駆け抜け「4曲続けてお送りしましたが、考えてみると、まだ…46曲も残っているんです…」と笑わせた。
72年の8月1日に「男の子女の子」でデビュー。「発売日にグリーンのおそろいのTシャツを着て、あちこち回った記憶がありますね」と振り返る。「『ひろみはアイドルだよ』と言う人もいれば、『大人の歌手』と形容する人もいる、でも自分では肩書きを〇〇と思ってやってきたことはなくて、郷ひろみを続けてきた」と半世紀の積み重ねを抱きしめた。
一夜限りのセットリスト。「お嫁サンバ」「よろしく哀愁」「林檎殺人事件」「GOLDFINGER’99」などヒット曲のみならず、懐かしのアルバム収録曲やカップリング曲まで50年の歴史を振り返るように披露し「それぞれ歌っていくと、短いフレーズでも思い出がよみがえってくる。たくさんの歴史や思い、苦しみ、楽しみが詰まった50年だった」と感慨深げ。本編の最後は「2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―」。ステージの端から端を疾走し、疲れ知らずの全力パフォーマンスだ。
伝説の一夜に幕を下ろす50曲目はバラード曲の「言えないよ」。歌唱前に郷は9000人のファンに語りかけた。「72年にデビューして、50年後に、こうして自分が日本武道館のステージに立てるとは思いもしなかった。みなさんとは単なる歌手とファンのつながりじゃない…」と切り出すと、感極まり20秒ほど沈黙。「絆みたいなものを感じていて、強い絆がこの先もずっと続いてほしい」と語りかけると、万雷の拍手に包まれた。
「50 times 50」と掲げた公演タイトル。「50周年で50曲、ということだけではなくて、みなさんとこの絆が永遠に続いて欲しいという思いでつけた。僕と皆さんの関係は、ずっとフィフティー・フィフティーで続いていくんだと…。本当にどうもありがとう」とファンに感謝した。50年の歴史を象徴する、忘れられない一夜となった。
◆セットリスト
1 ジャンケンポンGO!!(22年)、2 セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)(80年)
3 お嫁サンバ(81年)、4 男願Groove!(09年)
―MC―
5 男の子女の子(72年)、6 裸のビーナス(73年)
7 誘われてフラメンコ(75年)、8 洪水の前(77年)
9 禁猟区(77年)、10 モナリザの秘密(73年)
11 わるい誘惑(74年)、12 20才の微熱(76年)
13 もういちど思春期(81年)、14 哀愁のカサブランカ(82年)
15 哀しみの黒い瞳(82年)、16 MIND反比例(77年)
17 美貌の都(83年)、18 悲しきメモリー(77年)
19 マイレディー(79年)、20 花のように鳥のように(75年)
―MC―
21 約束(22年)、22 愛してる(10年)
23 逢いたくてしかたない(95年)、24 ワキワキマイフレンド(01年)
25 恋はシュミシュミ(18年)、26 お化けのロック(77年)
27 林檎殺人事件(78年)、28 小さな体験(72年)
29 Bang Bang(13年)、30 サファイア・ブルー(85年)
31 CHARISMA(85年)
―MC―
32 よろしく哀愁(74年)、33 ありのままでそばにいて(08年)
34 ハリウッド・スキャンダル(78年)、35 僕がどんなに君を好きか、君は知らない(93年)
36 なかったコトにして(00年)、37 とどかぬゆびさき(05年)
38 How many いい顔(80年)、39 バイブレーション(78年)
40 デンジャラー☆(12年)、41 Good Times Bad Times(07年)
42 く・せ・に・な・る(96年)、43 獣は裸になりたがる(01年)
44 恋の弱味(76年)、45 GOLDFINGER’99(99年)
46 2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―(84年)
【アンコール】
47 いつも心に太陽を(79年)、48 花とみつばち(74年)
49 あなたがいたから僕がいた(76年)、50 言えないよ(94年)