首相に〝殺害予告〟された審判「レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏」

首相に〝殺害予告〟された審判「レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏」

今回のW杯では日本人女性の審判も出場を果たした

(東スポWEB)

【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。サッカーワールドカップも決勝トーナメントが始まり、さらに盛り上がりをみせていますね。われらが日本代表も日本中を熱狂させてくれています。まだまだ眠れない日は続きますが、今回はW杯をより楽しむための1本を紹介したいと思います。

 取り上げるのは、陰の立役者である審判にスポットライトを当てた映画「レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏」(2010年)。欧州サッカー連盟(UEFA)が協力し、08年に開催されたヨーロッパ選手権を審判の目線で描いた異色のドキュメンタリーです。

 試合中の審判と選手の会話や、主審と副審がインカムで話している内容を明かしているんです。審判が選手に厳しい言葉を発したり、試合後には「われわれは神じゃない。判定ミスもあった」と謝罪するんですが、実に貴重です。審判同士の会話では、迷いやミスジャッジによって試合中にもかかわらず弱気になっていく様子は、見ているこっちの胃もヒリヒリしてきます。

 メインで描かれているのがイングランドの審判のハワード・ウェブさん。決勝戦の審判を務めることを目指していたんですがオーストリアVSポーランド戦で下したPKのジャッジが大きな波紋を呼ぶんです。ミスジャッジだと大バッシングを受けポーランドの首相までが殺意をほのめかす発言をし、家族に警備を付けるまでの騒動に発展して。正しいジャッジをしても目立たず、ミスジャッジを犯せばバッシングを浴びる。そんなプレッシャーのなかでジャッジをする審判には頭が下がります。

 ハワード・ウェブさんは決勝戦で審判を務めることはなく家族とテレビ観戦をします。映画序盤は審判のインカムでの会話が中心だったんですがラストでは観戦者としてのつぶやきに変わっていくという演出が映画としても非常によくできてる。ハワード・ウェブさんがテレビ観戦しながら審判の際どい判定に対して「今のジャッジは正しい」と家族に解説するシーンはさまざまな思いを感じさせてくれます。

 この映画には審判へのリスペクトと「誤審を含めてスポーツの一部」という思いが込められています。マラドーナの神の手ゴールも今ならVAR判定によって取り消されていた可能性もあります。AI化されることによって誤審と一緒にドラマも生まれなくなるんじゃないかという声もあります。しかしスペイン戦ではVARにより三笘薫選手の“奇跡の1ミリ”という新たな伝説が生まれました。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。

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