日本将棋連盟は28日、将棋の女流棋士・里見香奈女流四冠(30)が棋士編入試験を受験することを発表した。里見四冠は5月27日棋王戦予選、古森悠太五段戦で勝利したことで編入試験受験資格を得た。合格すれば初の女性プロ棋士誕生となる。
受験申し込み期限はこの日から1か月だったが将棋連盟は24日に棋士編入試験受験申し込みを受理したという。古森戦対局直後の会見では編入試験について「あまり前向きではない」と話していたが、考え抜いた結果、大きなチャレンジをすることを決断した。
この挑戦について、2014年度に実施されたプロ編入試験に合格し、2015年に四段となった今泉健司五段は東スポWebの取材に「里見さんは女流棋士の中ではトップ・オブ・ザ・トップ。収入面でも今のままでもやってける。すごい大変な決断だったと思うけど、夢とかロマンを求めたということですね」と今回の決断をたたえた。
その上で「自分は上から言える立場ではないけど、実力は文句はないし、普通にプロとして強い。女性だから、と見ている棋士はいない。メンタルがブレないし、なによりシビアな戦いをしてきた圧倒的なキャリアがある。自分が対戦して負けてもしゃあない、という感じ。平均のプロ棋士以上の実力はあると思う」と里見四冠を評価。
さらに「里見さんは藤井(聡太)五冠に並ぶ存在。里見さんがプロになったら、将棋界の空気は大きく変わる」とし、藤井五冠の活躍で盛り上がった将棋界に新たな息吹をもたらす可能性があるという。
編入試験の先輩として今泉五段は「大変なのは間違いないが、自分の時以上に可能性は高い。合格の確率は50%はあると思う。特に最初の2局が重要で、最初の徳田戦に勝てば合格確率は70〜80%に上がると思う」と予想した。
仮に合格した場合、女流棋戦のスケジュールもこなすことになり「大変なスケジュールになると思う。でもキャリアの中でコントロールしてきた人なので大丈夫でしょう。とにかく受かってほしいですね」と話した。
ちなみに今泉五段はNHK杯で里見女流四冠と公式戦初の対局をすることが決まっている。