「侍ジャパン」は準決勝は6−5と劇的なサヨナラ勝利で決勝進出を決めた。09年大会以来、3大会ぶりの世界一に向け、ムードは最高潮だ。
4−5の9回にドラマは起きた。先頭の大谷が右中間二塁打で出塁。続く吉田が四球を選び、無死一、二塁。サヨナラ機で不振にあえいできた村上が決めた。メキシコ守護神・ガエゴスの94・3マイル(約151・7キロ)直球を捉えた打球は中堅手の頭を超え、フェンスに直撃。ニ走の大谷に続き、代走で入った一走・周東も本塁へ。劇的な中越え二塁打でサヨナラ勝ちを収めた。
中盤までは苦戦を強いられた。先発の佐々木朗希投手(21=ロッテ)が0−0の4回、2死から連打で一、二塁のピンチを招くと6番、L・ウリアスに先制の3ランを被弾。3回までは安定してアウトを積み重ねていただけに、痛恨の1球となった。
打線もメキシコ投手陣攻略の糸口をなかなか見いだせずにいたが、7回2死一、二塁、吉田が起死回生の同点3ラン。直後に勝ち越しを許したが、3−5の8回1死二、三塁、代打・山川の左犠飛で1点差に。粘りを見せ、最終回の劇的サヨナラ勝ちにつなげた。
西岡は吉田の同点3ランについて「先、点取られたんですけど、7回の吉田選手の一振りで追いつく。もうちょっとありえないですね。この試合は」と興奮気味。
「これね、多分チェンジアップなんですけど、ホームランを打つ前にですね、チェンジアップが来て空振りしたんですね。左(打者)対左ピッチャーの対戦っていうのはあまりチェンジアップ使わないんですよ。左ピッチャーは。でも吉田選手からすると空振りした瞬間に、“あれ、チェンジアップ使ってくるんだ”って思ったはずなんですよね。それでこのホームラン打つ前にストレートで高めで外してるんですよ。だから吉田選手はこの場面で、“あっ、チェンジアップが決め球なんだ”っていうのを読んでたと思うんですよ」と説明した。
「だからしっかり対応できて、ホームランにすることになったと思うんですよね」と西岡。うまくコントロールしての本塁打だったと振られると、「拾ったんですよね。だから空振りした球とまるっきり同じ球なんですよ。これはもう吉田選手の経験と実力の差ですよね。読みです」と称えた。
頼りになる選手だと言われると、「いやもう素敵ですよね」と絶賛、今季からはメジャーでプレーするが「どんだけの戦いするか期待したいですよね」と力を込めた。