本作は、特殊能力を持つ兄弟姉妹がヒーローとして活躍し、脚光を浴びた“その後”を描く、王道ヒーローの真逆を突き進む“家族”の物語。最強かつユニークな能力を持っているのに、全員もれなくクセだらけでダメな所も多く、いつもケンカばかり。そんな人間くささにあふれたキャラクターたちを、軽快な音楽とともに、アクションやサスペンス、コメディ、そしてヒューマンドラマ…あらゆる要素を凝縮させた世界観で描き、世界中の視聴者に支持されてきた。
すべてのはじまりは1989年。妊娠していないはずの女性が突然出産するという出来事が世界各地で頻発。奇人の大富豪ハーグリーブズはその中の7人を養子にし、幼少時から厳しい訓練を行い、ヒーロー集団“アンブレラ・アカデミー”を結成した。番号で呼ばれていた子どもたちは、最初こそ大活躍し人気を集めていたが、あることをきっかけに解散。それぞれの人生を歩んでいたが、ハーグリーブズの急死によって再び集うことに…。久々の再会で早速ギスギスする彼らだが、そんな中、この兄弟姉妹が引き金で“世界滅亡”の危機が迫っていることが判明。アンブレラ・アカデミーは仕方なく、その事態の回避に挑んでいく。
これまでの3シーズンでは、次々訪れた滅亡の危機を“一応”阻止することに成功。しかし、そのときの行動が別の滅亡の可能性を生み、再びそれに対処する…というループに悩まされてきた。
解禁となった映像では、前回の回避に成功した対価に力を失ってしまった彼ら、そして平穏な生活を見つけようともがく姿も描かれている。そこに再び新たな脅威が発生、過激な思想を持つ謎の団体も現れ、アンブレラ・アカデミーは渋々危険を冒しながら、もう一度だけ団結しなければならなくなる。
アカデミーの兄弟姉妹は全員問題だらけ、しかしその不完全ぶりが愛される要素で、行く末を見届けたくなる魅力にあふれている。“1号”ことルーサーは、アカデミーのリーダー的存在で、能力は〈強靭な肉体と怪力〉。“ザ・ヒーロー”な力を持つが、あまりに生真面目すぎて愚直な謎行動に走ることも。シーズンを通して描かれる、彼が大事な恋人を見つけていく過程にも注目だ。
“2号”ことディエゴは、ルーサーにバチバチに対抗意識を燃やす次男で、能力は〈ナイフの軌道を変えられる〉。正義感が強く面倒見も良いが、つい見栄を張るというかわいらしくも面倒な一面も。シーズンを通して成長し、自分なりの“愛”を見つけていく。
“3号”ことアリソンは、凛としたしっかり者で、能力は〈ささやいた言葉通りに相手を操る〉。他人の人生を容易に左右できるほどチート級の力。娘の子育てにこっそり力を使っていたことが夫にバレて離婚。後悔し、紆余曲折ありながらも人生を歩んでいく姿は必見だ。
“4号”ことクラウスは、どこかカリスマ性にあふれた存在で、能力は〈死者と会話できる〉。酒や薬に溺れがちで自堕落。兄弟姉妹からも冷ややかな目で見られることが多い変わり者。しかし人一倍優しい心を持っていて、意外と問題解決の鍵になることも多い。
“5号”ことファイブは、見た目は子ども、頭脳は大人の53歳。能力は〈空間・時間移動〉。ナルシストな面もあるが、力を使い未来を見に行くなど、あらゆる局面で大活躍。時空の果てで独り、マネキンと約40年を過ごしたという不思議な闇も抱えている。
“6号”のベンは、幼少期に死んでおり、能力は〈身体からタコのような触手を出せる〉。周囲からは見えないものの、よく皆の傍に居り、死者と話せるクラウスだけが彼と話せる。なかなかの常識人で、クラウスの話し相手になったりアドバイスをしたりと頼れる存在。
“7号”ことヴァ―ニャ(シーズン3からはヴィクター)は、ほかの皆と違って能力が無いことで孤独感を抱くバイオリン奏者。そのコンプレックスから、アカデミーの暴露本を出版したこともあり、兄弟姉妹とは距離が生じてしまっていた。しかし実は、“地球滅亡”の元凶にもなり得る、とある強大な力を秘めている。
そんな愛すべき魅力に満ちあふれたアンブレラ・アカデミー。“お別れ”となる最終シーズンについて、ヴィクター役のエリオット・ペイジは「紆余曲折があり、もちろんアクションもある」と語り、ディエゴ役のデヴィッド・カスタニェーダは「相変わらずイカれてる。ほろ苦くてムダがない。そしてエキサイティング」、そしてアリソン役のエミー・レイヴァー=ランプマンは「お決まりの悪ふざけがたっぷり」と、これまでの“らしさ”はキープしつつ、フィナーレらしい魅力にあふれていることを断言している。