大阪・関西将棋会館で16日に指された第81期順位戦B級1組1回戦で、山崎隆之八段に後手番の82手で勝ち、公式戦通算1500勝を達成した羽生善治九段が喜びの会見を行った。以下は会見のやり取り。
―改めての心境を
「棋士も随分、長くやってきて、1500勝を迎えることができて、うれしく思っています。順位戦の開幕戦ということもあり、目の前の一局に集中してやっていこうと言う気持ちでしたが、結果として大きな節目を迎えることができた。これを機にさらに前に進んでいかなくてはいけないなとの思いも強くした」
―デビューから36年5か月
「将棋の世界は勤続表彰が1回目が25年、2回目が40年。だんだん近づいてきているということもあり、大変ありがたい。本当にたくさんの棋戦、トーナメントで対局することができ、恵まれているなと。通算成績とか気にしない感じだったんですけれども、大きな節目を迎えることができてよかった」
―思い出の一局は
「しいて挙げるとすると、やっぱりデビュー戦(1986年1月、勝利)ですかね。勝手がよく分からなかったですし、そこが最初の出発点というか、原点でもあるので」
―次は1600勝だ
「1500勝を達成したからといって、全ての目標が終わりと言うことでもないですし。将棋は本当に難しいもの。長くやってきたんですけれども、これから先も自分なりに少しでも進歩、上達していけたら」
―タイトル100期の期待も高まる
「まず挑戦者にならないと始まらない。最近は近い所までも進めていないことが多い。まずは自分なりにしっかり力をつけて、そういう場に出られる棋力を充実させるということが大事なのかな。今の段階では現実味を帯びていないのが率直な感想です」
―A級復帰に向けては
「B級1組のメンバーも本当に強い人ばっかり。本当に一局一局が勝負というか厳しい戦いになると思ってます。コンディションを整えて、充実させて、残りも向かっていきたい」
―現代における将棋観は
「最近は非常に間口が広いというか、序盤もいろんな可能性があるというところで、自分なりに試行錯誤しているところ。それを繰り返していく中で、新たなスタイルを確立できたら。今までかなり多くの対局や実戦や分析が行われてきました。自分自身も2000局以上指したが、まだ知らない形というか、自分なりに分析、研究が進んでないっていう形が結構ある。それにトライしている」
―若い世代が台頭している
「藤井(聡太)さんを代表として、若い世代の人の活躍が著しいですけれども、例えば、昨日行われた棋聖戦第2局も、すごく高度な内容というか、プロが見ても見ごたえのある内容で、私自身もかなり勉強になったというか、参考になるっていうことがたくさんある。素直にすごいなと思っています」