大手芸能事務所「ワタナベエンターテインメント」所属の芸人による「ワタナベお笑いNo.1決定戦2023」の決勝大会が9日、東京・内幸町のイイノホールで開催され、結成5年目の「豆鉄砲」が初優勝した。決勝では3ブロック12組が出場。それぞれのブロックを勝ち抜いたAマッソ、ゼンモンキー、豆鉄砲がファイナルラウンドへ。ブロック戦に続き、決勝戦でもトリを飾った豆鉄砲は、交通系ICカードをネタにした斬新なネタで全6票中5票を獲得する圧勝だった。
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結成5年目で初の決勝へと駒を進め、漫才2本で頂点に立った。佐藤直輝(29)は何度もガッツポーズし、東健太郎(29)は賞金100万円のボードを誇らしげに高々と掲げた。
「本当に大丈夫かな、俺たちでという気持ち。一番優勝すると思われていなかったので」。佐藤直輝(29)が率直に優勝の喜びを語ると、相方の東健太郎(29)も「事前予想で一番僕らが少なくて…」と続けた。下馬評を覆す大金星。しかし、芸人の間ではその実力は高く評価されていた。決勝戦で戦ったAマッソもその一組だ。
「最近、『豆鉄砲面白くなったね』と言われた1年だったので、優勝するなら今年だと気合が入っていました。これを機にもっと売れたいですし、メディアでも爪痕を残していきたい」。佐藤はこう決意を新たにした。
2018年10月にデビュー。持ち味は独特の世界観と東の魂の叫びだ。決勝戦では、東が交通系ICカード「PASMO(パスモ)」になったという設定で、残高がゼロになると、そのカードに詰まったさまざまな思い出が消えてしまう悲しみを絶叫し、大笑いを誘った。賞金は2人で折半するといい、東は「もちろんPASMOにチャージしていろんな物に使います」とニッコリ笑った。
そんな歓喜の裏で、実は佐藤は窮地に立っていた。「相方(佐藤)が同せいしていた彼女に突然フラれて、明日にでも出て行かないと行けなくなったから引っ越し資金がいると。家族にも相談したが、お父さんも最近仕事クビになったそうで…」。東の暴露に佐藤も「今自宅がない状態です」と苦笑した。
後の囲み取材で、佐藤は「時間がもったいない」と一方的に別れを告げられたと明かした。ネットニュースなどで彼女が優勝を知ったらどうするかを問われると「(優勝によって)もし『僕らの未来が見えた』と(心変わりして)言われたところで、ちょっと現金な女だなと思うじゃないですか。ただ、また付き合っちゃうと思います」と復縁に前向きな姿勢も示した。
コントではなく、漫才での優勝は2016年の「笑撃戦隊」以来だといいう。東は「ワタナベの漫才でお笑いが盛り上がっていってほしい」と、さらなる飛躍に向けて新たな夢を描いた。