12日に東京・千代田区の日本武道館で、いれいす One Man Live in 日本武道館「Irregular Dice」を行った6人組の新世代歌い手グループ・いれいすが、公演翌日の13日に無期限の活動休止を発表した。2020年10月の結成以来、目標と公言してきた武道館公演で会場に約1万人、全国各地の映画館でのライブビューイング(LV)で4万6000人を動員し、ライブを大成功させたが、13日夕に文書で活動休止を宣言。武道館公演にかけてきたいれいすの「本気」とライブですべてを出し尽くした「完全燃焼」を強く印象づけた。
わずか結成3年4か月で武道館公演を成功させたいれいすの選んだ道は、納得いくまで自らと向き合うことだった。発表した文書には、音楽に、ファンに真摯(しんし)に向き合ってきたメンバーたちの思いがあふれていた。
いれいすの歴史に残る武道館公演から一夜明け、発表された文書では、活動休止の理由について「武道館ライブ以降の活動について、いれいすメンバーの中で方針や目標が定まっておりませんでした」と明かされていた。メンバー6人が、文字通り明日など考えず、武道館で燃え尽きたことをうかがわせた。
武道館公演を夢に掲げ、一直線に走り続けた3年4か月。その先に何が見えるかなんて、考える余裕もなかった。12日のライブでは、メドレーを含め全37曲を歌いつくした。MCも序盤の自己紹介とアンコールでのメッセージのみ。いつもはメンバーの素顔や、わちゃわちゃする楽しさにあふれている幕間映像も、今回はメンバー全員がこれまでの活動と武道館公演への思いを語る、どこまでもまっすぐなものだった。
ダイスナンバー2 ・―hotoke―は、オープニングナンバーから涙で声を詰まらせた。アンコールのMCで、一度はいれいすから脱退しようとしていたという衝撃的な事実を明かし「『お世話になりました』とメンバーに伝えようとして、その言葉がどうしても出なかった」と振り返り、人目もはばからず泣きじゃくった。すべてが順調だったわけではない。ここに来るまでに、どれだけの苦労があったか、どれだけのものを犠牲にし、武道館にかけてきたのかが伝わってくるライブだった。
目標を達成し、やり残したことはないと言い切れるほどの「完全燃焼」を体現した今、次はどこへ行くのか、何を目指すのかをすぐに決めろというのは無理だろう。インターネットでの活動を中心とする歌い手集団といっても、個人が目指すところはそれぞれ違う。社会人から歌い手になったダイスナンバー4 ・ないこやダイスナンバー5 ・If、学生のダイスナンバー1 ・りうら、バンド活動から転向したダイスナンバー6 ・悠佑、ラップ担当でヒップホップ色が強いダイスナンバー3 ・初兎…。それぞれの色を持つメンバーたちをまとめ上げていた強力な目標が、「日本武道館公演」だった。それがかなった今、少し休んで自分と向き合ってみたいと思うのは当然だろう。
しかし、この活動休止はアーティストによくある「解散」の言い換えではない。活動再開時期は「未定」となっているが、同時に、文書では「また胸を張って活動ができるように、新たな活動方針や目標とともに、必ず帰ってきます」とも宣言している。ライブのMCで、いれいすの所属事務所・VOISINGの社長でもあるないこはこう言った。「残りの人生、すべてリスナーのみんなに捧げます」武道館公演を、リスナーとの「約束」と表現し、その約束を果たしたいれいすが、今度は「必ず戻る」と約束した。その約束は、きっと果たされるはずだ。SNSでも、「ゆっくり休んで」「いつまでも待ってます」という声があふれていた。強い光はいったん消えたかも知れないが、いれいすがリスナーの心にともした灯は、まだまだ消えてはいない。
【活動休止文書・全文】
いつもいれいすを応援していただきありがとうございます。
この度いれいすは、本日2024年2月13日(火)をもって、活動休止とさせていただくことにいたしました。
活動休止に関するご報告は以下の通りです。
■活動休止に至った経緯と理由
いれいすはリスナーの皆さんとともに「歌い手グループ史上最速で武道館ライブプを実現する」ことを目標に活動してきました。
そして先日、2024年2月12日(月)をもって、武道館ライブを実現し、結成当初から掲げていた夢を、リスナーの皆さんに誓った約束を叶えることができました。
しかし、武道館ライブという大きな夢を叶えることだけを目指して活動してきたがために、武道館ライブ以降の活動について、いれいすメンパーの中で方針や目標が定まっておりませんでした。
このまま活動方針や目標が曖昧なまま、なんとなく活動を続けることは、応援してくださっているリスナーの皆さんに対して失礼な行為であること。そしていれいすメンバー自身、何に向かって頑張ればいいのかわからないまま中途半端な活動を続けていても、リスナーの皆さんに満足滋足のいくコンテンツを提供できないと確信していることから、武道館ライブ武逍館ライプを終えたタイミングで活動を休止し、改めて自分たちの活動と向き合い、十分な時間をかけて今後の活動方針や目標を定めていくことにいたしました。
■活動休止中の運用方針について
グループ及び各メンバーからのSNSの発信、生配信、動画投稿などを停止させていただきます。
いれいす公式X、YouTube、LINEなどにて、企業様や関係者様と事前に進めていた案件に関する発信のみ行わせていただきます。
すでに投稿されている動画や生配信アーカイプについては、引き続きお楽しみいただけます。
■活動再開時期について
現時点では未定となります。
突然の活動休止報告となり、いれいすを応援してくださっている皆様には大変中し訳ございません。いれいすは、リスナーの皆さんとともに歩を掲げ、皆さんとともに夢を叶えるグループです。また胸を張って活動ができるように、新たな活動方針や目標とともに、必ず帰ってきます。
今後のいれいすが、よりリスナーの皆さんに寄り添い、ともに歩んでいけるようになるために、ご理解いただけますと幸いです。