この舞台挨拶の登壇メンバーを知った時から、「ずっと今日までソワソワしていました。自分一人挟まれて、どういう風にしたらいいのだろうかと…」と不安を漏らした磯村は「舞台袖で皆さんが盛り上がっていて、そのお話の中に入れなかった」と反省。キムラから「(磯村のことを)私たちが『王子!王子!』と言っていたから」と言われると「恥ずかしくなって…照れちゃいました」と照れ笑いだった。
さらに磯村は木野から「普通の役で、なにかをしているというわけではないのだけれど、映画を観て素敵な方だと思った。たたずまいが素敵。将来を期待しちゃいました」と絶賛されると「汗が…恥ずかしいです」と恐縮しきりだった。
また作品の内容にちなんで「絶望を感じた時の払拭方法」という話題になると、年長の木野は「なるようになる!と思えば絶望なんてない」と達観した言葉を放ち、キムラは「20年前くらいに絶望を味わい、己が悪いと自分を責め続け、天に謝り究極の孤独を味わい酒を煽った」とヘビー過ぎるトーンに。これに磯村は「先輩方がすごすぎて、これ以上のエピソードはありません。自分の絶望なんてちっぽけ」とさじを投げていた。
さらに「失踪した夫が10数年ぶりに帰ってきたら受け入れるか?」とのお題には、木野が「無理!お引き取り願う!」、キムラも「ありえない!」とヒートアップ。じっと黙って激論に耳を傾けていた磯村は「自分のことじゃないけれど、聞いていて心が苦しくなりました…」とベテラン勢の威勢に圧倒されていた。
一方、30年程の仲という木野を「恩人」と表す筒井は「木野さん演出の舞台で芝居に自信がなくなったとき、私が一番苦手とする怒る役をつけてくれた。本番中も稽古してくれて、檄を飛ばしてくれて、愛情を感じた。そして木野さんから『なにか変わったね』と言われた時、この仕事を続けてもいいんだと思った」と自身のターニングポイントを挙げていた。
取材・文/石井隼人