■「マイストロベリーフィルム」とは
同作は、フィルムを通じて交錯する4人の高校生の思いを描く青春ドラマ。端正な容姿で注目を集めているが目立つことは苦手、かつ音楽作りが趣味の市川凌役を深田、コミュニケーション力は高いが調子に乗りやすく、夢中になれるものが無いことが悩みの遠山光役を矢花、フィルムの美少女・村崎美波役を田鍋、バトミントン部所属で活発な性格の、古道具に詳しい中村千花役を吉田が演じる。
さらに凌、光、千花が通う高校の教師・松岡役に小島聖が配役され、厳格な雰囲気の中にどこか寂しさを覚える佇まいで、青春できらめく高校生たちの世界にスパイスを加える。
オープニング主題歌は、クボタカイがドラマのキーアイテムである8mmフィルムから着想を得て書き下ろした新曲「フラッシュバックメモリーズ」。本作の登場人物の揺れ動く感情に寄り添った優しいメロディーと歌詞で作品を彩る。
エンディング主題歌は、「JAPANESE TAKUROKU INDIE POP」をコンセプトに活動するユニット・Quwが歌う「Cropping」。楽曲名の「Cropping」は和訳すると「切り取り(トリミング)」という意味があり、美しい情景や喜怒哀楽といった生活の中の一瞬を切り取って忘れたくない、といった意味が込められている。
■千花は凌の思いを知りながら、光の恋を応援する
高校二年生の凌、光、千花は秘めた感情を抱えながら、一見平穏な高校生活を送っている。ある日、光と千花は校内の古びた倉庫で8mmフィルムを見つける。映写機に映し出された美しい少女に魅了された光は、凌と千花を巻き込んで校内で聞き込みを始める。
光への思いを秘めながら友達を続けていた凌だったが、フィルムの美少女にそっくりな美波の登場によって凌の気持ちは乱される。そして、千花は凌の思いを知りながら、美波に引かれる光を応援することに。
■「光は友達だ」と凌は自分に言い聞かせる
美波も誘ってWデートしようという話が出るが、それが嫌だったのじゃないかと千花が凌を思いやる。しかし、凌は「いいじゃん、Wデート。行くか、光のために」と達観した面持ちで言う。千花が恐る恐る「いいの?」と尋ねると、凌は「当たり前だろ」とそっけなく言って、光からの差し入れのパンを頬張る。
倉庫にいる光のもとへ凌と千花がやってくると光は「凌、どこ行ってたんだよ」と非難めいた声で言い、凌は「ちょっと、腹痛」とごまかすように苦笑する。千花が凌もWデートに行くことを報告すると、光は喜んで千花にどうやって説得したかと尋ねる。千花が言いよどむと、「やきそばパンとコロッケパン、これで手を打ってやるよ」と凌が言う。光は凌に駆け寄って抱きついて「凌、大好きだよ!ほんと、ありがと!」と感激する。凌は「光は友達だ」と自分に言い聞かせるように心のなかでつぶやくのだった。
光への思いを秘めながら、光の恋に協力する凌の気持ちを思うと切なくて胸がギュッと苦しくなった。
◆構成・文=牧島史佳