■2022年のドラマ「silent」チームが再集結して描く親子の物語
同ドラマは、目黒が出演し、社会現象とも呼ばれた2022年10月期のドラマ「silent」(フジテレビ系)の脚本・生方美久氏、風間太樹監督、村瀬健プロデューサーが集結して制作。“親子の愛”をテーマに、今の時代だからこそ伝えたい人と人との間に生まれる愛と、家族の物語を描く完全オリジナル作品だ。
印刷会社に勤務し、大学のときに別れた恋人の死をきっかけに自分の娘の存在を知る主人公・月岡夏を目黒、夏と付き合って3年になる化粧品メーカー勤務の百瀬弥生を有村架純、夏の娘・海を泉谷星奈、夏の大学時代の恋人で病のために亡くなった南雲水季を古川琴音、水季が働いていた図書館の同僚・津野晴明を池松壮亮、水季の母・朱音を大竹しのぶが演じる。
■夏が海にストレートに問い掛ける
母を亡くしたばかりの海がいつも元気に振る舞っていることが気にかかっていた様子の夏。第3話で、それをストレートに問い掛ける場面があった。
海を自宅で弥生と共に預かった日のこと。「なんで元気なふりするの?」と言う夏の突然の質問に、少し表情が曇った海。そばにいた弥生が「やめなよ」と制止しようとするが、夏は「水季死んで悲しいでしょ。何してても思い出してキツイと思うし。なんで?泣いたりすればいいのに。水季だって元気でいてほしいって思ってると思うけど、でも、元気ぶっても意味ないし」と一気に続けた。
海の瞳にみるみるうちに涙がたまる。弥生がなぐさめの言葉をかけるが、夏の言葉は止まらない。「水季が死んだってことから気そらしたってしょうがないし。悲しいもんは悲しいって吐き出さないと」。
大きな瞳からポロポロと涙がこぼれる海にハンカチを差し出す弥生。だが、海はハンカチを受け取らずに、夏に抱きつき、泣き声を上げて泣き続けた。
■夏と海の涙にもらい泣き
このときがもしかしたら水季が亡くなってから初めての涙だったかもしれない。
第3話のサブタイトルは「たいせつな人を失うということ」。この前に描かれたエピソードで、弥生につらい言葉を投げかけた朱音。海を連れて来たこの日に、「大人だってまだダメでしょ。思い出すと気持ちがぐちゃぐちゃするでしょ」と明かして謝罪していた。そう、大人でさえ大切な人を失うとき、すぐに心の整理がつくものではないのだ。
自分の知らないところで海が生まれていて、子どもの扱いが得意ではなさそうで、言葉にするのが苦手な夏らしく、大人に対するような言い回しだったかもしれないが、夏の言葉は海の心に届いた。
その後の学校で、海は担任教師から「今日は元気ないね」と聞かれて、「うん、でも大丈夫。いま、ママのこと考える時間。元気ないけど大丈夫」と答えた。これからのために、その時間も大切なのだ。
また夏自身も、第2話ラストで抱きつかれたときには戸惑うばかりだったのが、今回はおそるおそる海の背中に手を回し、ギュッと抱きしめて一緒に涙を流していた。
ラストでは、「夏君、パパやらなくていいよ。でも、いなくならないで」と願った海。夏も海も「パパをやる」ということが何なのか、分からない状態だ。ただ、いまは、そばにいたいと思い、いなくならないでほしいと願う。そんな関係を築き始めたばかりの2人を、我々も見守っていきたい。
今回も反響は大きく、Xで日本のみならず世界トレンド1位に。「悲しいもんは悲しいって吐き出さないとと言ったのは、パパのはじまりだよね」「ママのことを考える時間、それでいいんだよね」「後半ずっと泣いてた」「みんな幸せになってほしい」といった声が寄せられていた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部