河瀬直美監督「反対派も含めて」東京五輪公式映画と強調「時代の記憶刻まれている」

 3日から全国公開となった東京五輪の公式記録映画「東京2020オリンピック SIDE:A」の記者会見が5日、都内で行われた。総監督を務めた映画監督の河瀬直美氏(52)は「ここ(作品)には時代の記憶が刻まれている。私たち(日本国民)が何を選び、どのように東京2020を開催して閉幕まで導いたのか。アスリートだけでなく、大会関係者、ボランティア、医療関係者、(五輪開催)反対派の人たちも含めて、私たちはこの時代を精いっぱい生きたと。今は苦しい時代かもしれないが、(この作品を通じて)頑張りたいと思ってもらいたい」と胸を張った。

 この作品は第75回カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクションのクラシック部門にも選出され、先日現地で上映された。河瀬氏によれば、国際オリンピック委員会(IOC)の関係者からは「スポーツのドキュメンタリーを依頼したつもりが、人間ドラマが感慨深い」と称賛されたという。一方、先月都内で行われた完成披露試写会では、会場外で上映反対を訴えるデモが行われるなど、さまざまなリアクションを生んでいる。

 3日から全国公開も始まったが、「知らない人からのネットの評価を見ていない。(物理的に)見る時間がないというのもある。(SIDE)A公開の直前まで(SIDE)Bをつくっていて、ほとんど寝ていないので」と河瀬氏。ただ、実際に鑑賞した人からの生の反響には手応えを感じたといい「自分の近くの人や(作品を)見たという人からの感想を聞いているだけだが、すごく可能性を感じている。20〜70代までの老若男女の口にすることが同じで『自分ももっと頑張らないとあかんな』と。『人生の金メダリストに私たちにもなれるんだ』と。この映画のさまざまなところに光り輝くものがある」とうなずいた。

 今回の公式映画は大会がコロナ禍で史上初の1年延期となったこともあり、750日、5000時間という膨大な撮影期間を経て、2作品として上映される。「−SIDE:A」は国内外のさまざまなアスリートの物語を中心に構成された作品で、6月24日全国公開の「−SIDE:B」は組織委員会や大会関係者に焦点を当てたものになるという。

 河瀬氏は「750日、5000時間の素材と向き合い、大きな壁にぶつかり続けていたが、絶対に諦めないと思った一番の理由はスポーツの力だった。アスリートの方が日々鍛錬しながら勇気、希望、熱いものを与えてくれる。こんな東京2020のアスリートの競演を多くの子供たちに生で見せたかったが、コロナもあって見せられなかった。できれば劇場で映画で見てほしい」と呼びかけた。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね♡
URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アフィリエイター初心者です!よろしくお願いします。

目次
閉じる