水原一平、違法賭博事件がお笑い芸人に与えた意外な影響

 お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二(41)が、5月26日に東京競馬場で開催された日本ダービーの予想を見事的中させた。競馬大好き芸人として知られ、「ウイニング競馬」(テレビ東京・土曜・15時)のMCも務める斉藤だが、日本ダービーで当てたのは2010年以来14年ぶり。ところが、あまり大っぴらに喜べない事情があるという。

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 ダービーの前日、ジャンポケ斎藤は自身のYouTubeチャンネルで、本命に9番人気のダノンデサイルを指名した。騎乗する横山典弘騎手が先行させるのではないかとレース展開を予想し、対抗はジャスティンミラノで「【5―15】ワイド1本で行く!」と宣言した。

 当日はもちろん東京競馬場からのYouTube生配信と思いきや、彼は出演するルミネtheよしもとの出番待ちで、しかも、楽屋に寝ている芸人がいるということで、ひそひそ声での中継だった。

  とはいえ、レースが始まるとテレビ中継を見つめる斉藤の目はいつにもまして大きくなった。予想どおりの展開となり、最後の直線でダノンデサイルが内から抜け出し、そのまま1着でゴール。ジャスティンミラノがそれに続いた。2万円の馬券は27万6000円になり、囁き声ながら斉藤は大喜びだった。民放ディレクターは言う。

「予想下手で有名な斉藤の的中は、業界でも大きな話題になりました。日本ダービーで当てたのは14年ぶり で、この日は同じく東京競馬場で行われた目黒記念も的中させていたので、喜びもひとしおだったでしょう。ただし、以前ならバラエティ番組で取り上げられてもおかしくない話題ですが、最近この手の話はちょっと扱いにくくなっています」

 アノ人のせいだという。

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「営業妨害やわ」

「ドジャース・大谷翔平選手(29)の元専属通訳で、彼の口座から約1700万ドル(約26億7000万円)を盗んだとされる水原一平被告(39)のせいです。大谷の被害総額はあまりに大きすぎた。水原保釈の条件のひとつにギャンブル依存症の治療が含まれています。そのため日本のテレビ業界では、ギャンブル依存症を想起させるような話題を自主規制しています」

 むろんジャンポケ斉藤は依存症ではないし、そもそも競馬は公営ギャンブルだから違法性もない。

「公営ギャンブルが大好きとか勝った負けたという話は完全にNGというわけではありません。内容次第では放送もできますが、ギャンブルによる借金話はグレーゾーンになってきています」

 2019年11月、バラエティ番組「アメトーーク!」(テレビ朝日)は“競馬大好き芸人”という企画を放送した。ゲストとして雛壇に並んだのは、麒麟・川島明(45)、千鳥・ノブ(44)、ナイツ・土屋伸之(45)、TIM・レッド吉田(58)、かまいたち・山内健司(43)、霜降り明星・粗品(31)、そしてジャングルポケット・斉藤だった。

「粗品は無類のギャンブル好きとして有名で、自身のYouTubeチャンネルでは“生涯収支マイナス3億円君”というキャラに扮して競馬の予想もしています。もちろん、地上波では上手にトークのネタに仕上げていますが、水原被告について『営業妨害やわ』と言う一方で『お兄ちゃん』と呼んだり、彼が粗品のInstagramをフォローしていたことが話題となりました」

 確かに粗品はギャンブル好きだが、今年1月には競馬で大穴馬券を的中させ、払戻金の約2400万円を能登半島地震の義援金として寄付をしたりもしている。

勝っても負けても

「困っているのは“クズ芸人”としてギャンブルの借金をネタにしていた岡野陽一(42)やザ・マミィの酒井貴士(33)、空気階段の鈴木もぐら(37)……といったあたりでしょうか」

 逆に、ギャンブルで3億円を稼ぎ、税務署から数千万円を追徴課税されたことで話題にもなった、お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃい(52)は、昨年「稼ぐギャンブル[完全版] 3億円を稼いだ芸人が徹底解説 99の方程式」(太田出版)を上梓。出版記念としてYouTubeチャンネル に岡野を呼んで、ギャンブルに勝つ人と負ける人の違いを配信したことがある。その際、岡野は競馬の賭け方についてこう語っていた。

岡野:勝ったら勝った分だけ賭けて、負けたら大逆転を狙って賭ける。

じゃい:それは残るわけないよね。

「今、地上波では放送できないでしょうね。芸能界には昔からギャンブル好きが少なくありません。公営ギャンブルの中では競馬が一番ポピュラーで市民権を得ているように思います。それだけに始めやすく、のめり込みやすいのでしょう。芸人にギャンブルトークのNGを出しているわけではありませんが、芸人自身も自粛するようになっていると思います。番組企画も自重するようになったので、仕事が減った芸人もいると思います。それほど水原被告の事件が世間に与えた影響は大きく、バラエティ番組にまでその余波が来ているということです」

デイリー新潮編集部

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