「この先も頑張って、沙也加と歌ってまいります」──。
■愛娘・沙也加さんの死から112日ぶりに熱唱
松田聖子(60)はそう言って声を震わせたそうだ。昨年12月に長女神田沙也加さん(享年35)が急死して以来、112日ぶりの復帰ステージとなったのは9日にグランドプリンスホテル新高輪で開催されたプレミアムディナーショー。3曲目には、予定を変更し2011年のNHK紅白で沙也加さんとデュエットした「上を向いて歩こう」を歌い、左手で口を覆っては涙し、ファンからの拍手に包まれたという。
「3月に還暦を迎えた聖子さんには、還暦記念コンサートや沙也加さんをモチーフにした新曲発売の噂もあります。深い悲しみを抱えながらも、前を向き、亡き愛娘への愛を胸にステージに立つ悲劇のヒロイン。セルフプロデュースに長けた聖子さんは沙也加さんの分までステージで歌い続ける気持ちなのでしょう」(スポーツ紙芸能デスク)
6月からは、さいたまスーパーアリーナを皮切りに全国アリーナツアーに出て、8月までに5都市で8公演を行うと発表されている。
「どの会場もソールドアウトの人気になる」と、聖子ウオッチャーでもあるベテラン芸能記者、青山佳裕氏はこう言う。
「聖子さんは昭和を代表するアイドルにして、世代を超え、あらゆる年代に知られているヒット曲がたくさんあります。そして、松本隆さんら、名だたるヒットメーカーによる名曲は廃れないどころか、いまもCMに起用されたりして、新たなファンを獲得し続けています。ステージでは、ファンの求める聖子ちゃん像を決して崩さず、還暦を迎えてもメルヘンチックな世界観でいくことが分かってきました。まだまだこれから、という意気込みが感じられます」
「あざとい商魂」の声もどこ吹く風
ファンが求める聖子ちゃん像とは、フリフリの衣装で「ぶりっ子」とも揶揄されたあの演出である。スキャンダルでワイドショーの主役だった当時もどんなに批判されようが叩かれようが、どこ吹く風と続けてきたスタイル。2020年のデビュー40周年の時は翌年も40周年を冠につけるコンサートを催し、「あざとい商魂」との声もあったが、こちらもどこ吹く風なのだろう。すでに還暦記念の新グッズをオンラインショップに並べているというから、やる気満々だ。
「必ずしも良好とは言えなかった沙也加さんとの関係、確執すら世間に知られてしまい、並の神経であれば人前に出ようなんて、思いもよらないところでしょう。しかし、そこで、批判も覚悟の上と出ていくのがまさに聖子さん。仕事はもちろん、家族も夫も、自分を飾り立てるものとして、何よりも自分が輝くことを優先する生き方をしてきた。それは沙也加さんを亡くし、また還暦を迎えても変わりませんね」(青山佳裕氏)
早い話だが、昨年は出場を辞退した大晦日のNHK紅白はほぼ当確で「聖子のための奇跡の一夜になる」(音楽関係者)との声が業界内から聞こえてくる。聖子伝説はまだまだ続く。