ジャニーズ事務所は10月2日、あらたに「向かうべき方針」を公表するとした。創業者ジャニー喜多川氏の「鬼畜の所業」を認めつつ、その名前を冠した社名のままでいることへの批判が殺到していることを受け、ようやくその看板を下ろすとも報じられている。
「19日の取締役会では、事務所名にこだわっていたら、スポンサー離れは止まらない。さらに圧力を利かせていたテレビからも見放され、かつて辞めジャニたちにしたように、自分たちが業界から干される道筋が見えてきたのでしょう。タレントの大量離脱も見えていて、新会社をつくって何とか生き残ろうと必死みたいです」(内情を知る芸能プロ幹部)
ジャニーズは東山紀之の新社長就任を発表した先の記者会見で、再発防止特別チームの提言した同族経営の見直しを実質スルー。社長を辞任しつつ、株式100%を保有し続ける藤島ジュリー景子氏はその理由を「被害者補償についても進めやすい」と説明していた。しかしながら、藤島氏が実質オーナーであることに変わりはなく、これにも批判が相次いでいたが、さらに新疑惑が浮上している。「週刊文春」が最新号で、ジュリー氏の代表取締役留任について、860億円の相続逃れを画策しているとの見方を報じたのだ。
■「事業承継税制」の特別措置狙い?
同誌によると、ジュリー氏は2021年に母メリー喜多川氏が亡くなって以降、メリー氏と50%ずつ分け合っていたジャニー氏の株を全株、保有することに。このとき、何と推定860億円もの相続税をジュリー氏は「ウルトラC」によって支払ってはいないという。黒字廃業する中小企業が後を絶たないため、事業承継を後押しするべく19年に導入された「事業承継税制」。相続税や贈与税が猶予され、実質ゼロになるこの特例措置の優遇を受けるためには、申告期限の翌日から5年間、代表取締役を務めなければならない。ジュリー氏の場合、25年5月までその椅子に居座ることで条件は満たされ、「被害者補償」はそれを隠すことの方便だというのである。
記者会見後に「ハワイに高飛び」報道
そうした批判は世間や関係者からさらに噴出するのではないか。先の記者会見で涙をハンカチで拭い、社長からの引責辞任を発表した直後、ジュリー氏は羽田空港からホノルル行きの航空機に搭乗、ハワイへ高飛びしたと同誌は伝えた。ジュリー氏はワイキキビーチを一望できるトランプタワー高層階の超高級コンドミニアムに滞在し、自分へのご褒美としてリラックスした時間をすごし、愛娘とショッピングを楽しんだりしていたというのだ。広告プロデューサーはこう言う。
「ジャニーズは年間売り上げが1000億円を超え、ジュリーさんは社長個人でも推定資産が数十億円規模。性加害問題がBBCの報道で世界的に報じられ問題視されて以降も、女帝で居続けている。オーナー企業といわれますが、現ジャニーズはジュリーさんの個人商店のようなもの。全株式のみならず、楽曲などの版権も持っている。社員もタレントも、彼女にとっては使用人も同じで東山氏は問題処理のための傀儡社長というのが業界の大方の見方ですから」
そうした内情のまま、どんな方針を打ち出しても、出直しはむずかしい、ともっぱらだという。
「ジャニーズ事務所の巨大利権は新設する別会社に移し、有力なタレントも新会社に移籍させるのではないか。自分たちは泥舟を捨てて逃げ切りを図るつもりでしょう」とは、別の芸能プロ社長。いずれにせよ、1962年6月の事務所設立から60年超。芸能界を牛耳ってきたジャニーズ帝国の断末魔の叫びが聞こえる。