テレビ朝日系スペシャルドラマ「必殺仕事人」が29日に放送され、年内でタレント活動からの引退を発表しているスマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)社長の東山紀之(57)が最後のテレビ出演を終えた。
50周年を迎えた「必殺仕事人」シリーズは、1972年に第1作「必殺仕掛人」がスタートして以来、藤田まこと演じる中村主水をはじめとする仕事人たちが、弱者の晴らせぬ恨みを晴らす姿を描いた時代劇。91年で制作が止まったが、15年の時を経て藤田からバトンを受け継ぎ、2007年に東山主演の「必殺」シリーズがスタートし、正月恒例のスペシャル時代劇として続いてきた。
この日のストーリーは、江戸の町の片隅で、渡辺小五郎(東山紀之)や経師屋の涼次(松岡昌宏)ら仕事人たちが闇にまぎれて悪人たちを仕留めていた。だが、仕事に手こずって窮地に陥ったリュウ(知念侑李)はすんでのところで謎の男に救われる。流しの仕事人・雪丸(中尾明慶)であった。陣八郎が死んでから仕事に身の入らなかったリュウを心配したお菊(和久井映見)が仲間に引き入れたのだという。腕は立つが残忍さを隠さない雪丸は小五郎の仕事の腕を慕っていて…。
時を同じくして、江戸の町に「人斬り牛鬼」と呼ばれて恐れられる辻斬りが出没する。相次ぐ犠牲者はいずれもよからぬ噂のつきまとう人物だが、本町奉行所の与力・増村倫太郎(生瀬勝久)や同心の住之江彦左衛門(松尾諭)らは犯人探しに大わらわである。川に橋を設置する大がかりな工事を推し進める作事奉行の豊川大和守忠次(田山涼成)からは見回りを強化するよう奉行所にお達しがあった。その橋の建設現場で働き始めたリュウは、工事を仕切っているのが小間物問屋の女将・山崎ツネ(松下由樹)だと知る。商売の手腕に加えて人助けも忘れない姿勢から「仏のおツネさん」と呼ばれ、現場の職人たちにも慕われている人物だそうだ。ところが、この橋の完成が人々の運命を思わぬ方向に狂わすことになり…。そんななか、金の無心のためにお菊(和久井映見)を訪ねた涼次は髪結いの棗(松下奈緒)と出会う。息を飲むような美しさの持ち主でありながら冗談の通じない生真面目な性格の棗に興味津々の涼次。一方、小五郎は彼女の手さばきにかすかな違和感を抱くが、その美貌の裏に隠された壮絶な過去までは知るよしもなかった。仕事人たちの間にも不穏な空気が漂い始める。仕事の割り振りをめぐり、雪丸は「アンタの出る幕はない」と言い放ち、リュウの的を奪う…という内容だった。