コンサートはNPO法人「リブ・フォー・ライフ美奈子基金」の活動の一環として開催。本田さんの意思を継ぎ、難病と闘う人々への応援を込めて、ゆかりのある出演者たちがステージに立った。コロナ下を除き毎秋恒例のイベントとなっており、今年が16回目の開催となる。
当日は早見優(57)、松本伊代(58)、坂本冬美(56)、工藤夕貴(52)らが出席。代表曲の「1986年のマリリン」や「悲しみSwing」などを披露し、出演者全員で「アメイジング・グレイス」を合唱した。会場には本田さんのハッピを身につけた中年ファンも多くいた。おそらく、現役時代から応援を続けていたのだろう。記者は30代で本田さんの全盛期を肌身で知る世代ではないが、往年のアイドルたちやファンの絆を感じさせるコンサートだった。
開演前には出演者たちが取材に対応。所属事務所の先輩にあたる松本は、昨年番組収録中に腰椎圧迫骨折で入院。「病院の中はこんなに寂しいのか。美奈子.ちゃんもこういった病室の日常を10カ月も過ごしていたと思うとやるせない」と語った。夫でタレントのヒロミ(58)とも親交があり「ママ、きょうは美奈子と一緒に頑張ってきてね」と送り出されたという。
アイドルとして同じ時代を過ごした早見も「毎年この時期になるとチャリティーワークの大切さを感じます。美奈子.ちゃんが近くで見守ってくれているんだなと肌で実感しています」とコンサートへの思いを明かした。
また本田さんと同い年の坂本は、松本や早見より年下。2人を見て「私と違って皆さん若い!もしも美奈子ちゃんが生きていたら、同じくらいきれいだったんだろうな」と笑いを誘いながらも故人をしのんでいた。「私を年齢のバロメーターとして見てほしい。“美奈子.ちゃんは今年56歳なんだな。でもきっと変わらないんだろうな”と思ってくれたら」とちゃめっ気たっぷりに語った。
90年代後半からの芸能界に親しんできた記者にとって、アイドルといえばモーニング娘。やAKB48に代表されるグループアイドルが当たり前だった。ただ本田さんらが活躍した80年代は個人が強烈な個性を放っていた時代。その分、仲間意識もライバル意識も強かったはずだ。
そんな時代を生き抜いた彼女たちにとって「音楽彩」というのは、年に一度、当時の熱気を思い出させてくれる貴重な機会なのだろう。「もし本田さんもこの場に立っていたら…」。そう思わずにはいられないコンサートだった。