■福田靖氏によるオリジナル作品
脚本は「HERO」シリーズやNHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年)、連続テレビ小説「まんぷく」(2018〜2019年、NHK総合)などを手掛けた福田靖氏によるオリジナル作品で、演出はドラマ「パンとスープとネコ日和」(2013年、WOWOW)、ドラマ「きのう何食べた? season2」(2023年、テレ東系)などの松本佳奈氏と、映画「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」(2023年)などの穐山茉由氏が手掛ける。
主題歌は、福山雅治が書き下ろし。深澤辰哉(Snow Man)、見上愛、影山優佳、西垣匠、橋本マナミ、矢柴俊博、筒井真理子、光石研、小林聡美、濱田岳らが出演する。
■「神に謝る!」を実行するために48年ぶりに会う決心をした雅彦
父・雅彦に寄り添おうとする瞳は、一馬(濱田)との結婚も延期しようと考えていた。雅彦の書いた「死ぬまでにやりたいことリスト」もかなえてあげたい気持ちがありつつも、一つずつかなえることがカウントダウンのような気がして、どうしていいのか分からなくなっていた。
そんな時、緩和ケア医の阿波野(光石)とばったり出会い、そのことについて相談した。すると、阿波野は「死ぬ前にやりたいことリストを実現することは、お父さんにとって残された人生を上手に生きるために必要なことなんじゃないでしょうか」と瞳に伝えた。
帰宅すると瞳は雅彦に「『死ぬまでにやりたいことリスト』見せて」と言って、そのリストの中の「神に謝る!」を実行することを勧めた。
■神に謝りたい理由を瞳に明かす雅彦
「神に謝る!」の「神」は“かみ”ではなくて“じん”。学生時代の友人の名前だった。「昔、神くんにものすごい悪いことをしちゃって、いまだに謝れてなくて」と雅彦はリストに書いたそのことについて瞳に説明した。ただし、どんな悪いことをしたのかは「それは言えないよ」と話すことを拒み、明かさなかった。
瞳は、神健一郎(中井貴一)のSNSを発見し、吉祥寺で喫茶店を経営していることが分かった。長年抱えていたモヤモヤした思いを払拭するために、雅彦は神に会いにいくことを決めた。
雅彦が神に謝りたいこと。それは、中学2年の時、神が好きな女の子に告白する勇気がなくて、雅彦が代わりに神の気持ちを伝えに行ったが、その女の子は雅彦のことが好きで、逆に告白されてしまう。告白された瞬間、その子のことを好きになり、神に内緒にしてその子と付き合ったことだと瞳に明かした。
■謝りに行った雅彦が逆に謝られてしまう
神の喫茶店を訪れた雅彦はコーヒーを注文した後、「神くん、俺、椎名、椎名雅彦。覚えてる?」と思い切って声をかけ、「神くんに謝らなきゃいけないことがあって」と言って、中学の時のことを謝った。
リストの一つを実行したわけだが、神は「え?その事?」と驚き、「椎名くん、謝らなきゃいけないのは僕のほうだよ」とバツが悪そうな顔をして、「“まいた”のこと」と雅彦に伝えた。
神が雅彦に謝りたいのは高校の時の出来事のようだ。しかし、雅彦は何のことだかさっぱり分からない。分からないまま、コーヒーだけ飲んで店を出た。
■“まいた”の謎が解けて、2人はまた親友に
瞳は雅彦に通っていた高校に行こうと誘う。そこに行けば「まいた」が何なのか思い出すんじゃないかと。瞳の思惑どおり、それは学校近くのパン屋のことだと判明する。
道の角にあったので“角パン”と呼ばれていたが、今はマンションが建って、店はなくなっていた。その角パンの本当の名前が「まいたパン」だった。
今度は瞳が神に会いに行くと、「まいた」のことを正直に話してくれた。まいたの裏に隠れ場所みたいなところがあって、野球部の先輩に誘われてタバコを吸おうとした。しかし、パン屋の店主に見つかり、神は先輩たちと一緒に逃げたが、その途中で雅彦とぶつかってしまった。その雅彦がタバコを吸ったということで停学になったが、自分たちだということを言い出せなかった。その停学の履歴が理由で、雅彦は大学の推薦入試を受けられなかった。
雅彦がずっと神に対して謝りたいと思っていたのと同じように、神もずっと雅彦に謝りたいと思って長い年月が過ぎてしまっていたようだ。
瞳は高校に連絡して、OBである父親と放課後、校舎に入る許可をもらった。そこに神にも来てもらって、2人だけで話せる場所を作った。それぞれが思いを打ち明け、親友だった2人がまた親友に戻ることができた。しかも神は、中学の時に告白しようとしていたその女の子と結婚したということも聞かされ、雅彦の長年のモヤモヤは完全に解消された。
「神に謝る!」を実行した雅彦は、抱えていた大きなものが一つ消えたことになる。こういうふうに自分の中に溜まっていたものを無くしてスッキリさせることも、阿波野が言った「上手に生きるために必要なこと」なのだろう。
残りの「やりたいことリスト」の実行、瞳の結婚など、まだまだやるべきことがあるが、どう解消していくのか気になるところ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部