滋賀県東近江市にある国の重要文化財・百済寺の公式HPが27日に更新され、今秋から放送予定のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の撮影で破損した原因について報告した。
NHK大阪放送局は26日、本堂の一部を破損したことを発表。同局によるとトラブルが起こったのは25日の午後3時頃で、寺の許可を得た上で、出演者10人が本堂外側のぬれ縁の上でダンスの練習をする場面のリハーサルをしていた。その際、縁側の床板を支えていた木材が折れ、床板約20枚が5メートルにわたり大きく陥没した。
その発表から一夜明けたこの日、百済寺は「拝観制限のご案内」という文章をアップ。「ニュース等で報道されておりますように、4月25日(火)NHKドラマ撮影中に本堂向かって右側の濡れ縁を支える板が過度の負荷に耐えられず破損し、床板が傾く事故がありました」と原因を説明。「幸いにも怪我人はなく、撮影は直ちに中止となっています」と改めて報告した。そして「明日からの拝観は通常通りおこないますが、本堂の破損箇所への立ち入りはご遠慮ください」と参拝者に理解を求めた。
NHKは26日に「貴重な文化財を破損したことを深くおわび致します。関係機関の指導に従い、修復等に適切に対応してまいります。改めて文化財の保護を徹底します」と謝罪している。
百済寺は、公式サイトによると西暦606年、聖徳太子によって創建された「近江国最古の寺院」。飛鳥時代には百済の高僧、平安時代には木曽義仲、戦国時代には織田信長、江戸時代には徳川家康ら名だたる大物の信仰を集めた。文化庁のホームページによると、現在の本堂は江戸前期の1650年に完成。中世以来の仏堂形式が変化する過程で、近世的な特質が表れた貴重な遺構として、2004年に重文指定された。