NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の第119話が20日、放送され、「ブルースの女王」茨田りつ子（菊地凛子）が、福来スズ子（趣里）に愛ある説教をするシーンが大きな反響を呼び、X（旧ツイッター）で「茨田さん」「りつ子さん」というワードがトレンド入りした。
戦後の大スターで「ブギの女王」として人気を博した歌手、笠置シヅ子さんをモデルに、趣里演じる主人公が多くの困難を乗り越えて歌手の道を突き進み、人々に勇気と希望を与えていく姿を描く「ブギウギ」。29日に本編が最終回を迎える。現在、ドラマは第25週「ズキズキするわ」（第117〜121話）が放送中で、年末に放送される歌番組「第7回オールスター男女歌合戦」（丸の内テレビ）で、若手の人気歌手、水城アユミ（吉柳咲良）と共演することになり、彼女から自身の代表曲である「ラッパと娘」を歌わせてほしいと頭を下げられたスズ子は対応に苦慮していた。
この日の放送で、自分では判断がつかないスズ子はこの楽曲を作った羽鳥善一（草なぎ剛）に相談した。善一はさびしそうな表情で「僕が（歌っても）いいと言えば、君はいいのか？ そんな大事なことを軽く言わないでほしい。あの歌は君が歌ってこその歌だ。もっと大切にしてほしい」と返答。さらにアユミがスズ子以上のうまさで歌ってしまったら、「戻る場所がなくなる」と厳しい言葉を投げかけた。
決断できないスズ子は、今度はりつ子に悩みを打ち明けた。りつ子はまず、スズ子が善一に甘えていると指摘。そして「先生なら、あなた以外には歌わせないって言ってくれるって期待したんでしょ？ だから先生がいいならいいなんて、決定を委ねるようなひきょうな言い方をした。あなたは、水城アユミに歌わせたくないくせに、自分でそれを言うのは恥ずかしい。『きっと先生なら止めてくれるだろう』（と考えた）。そりゃ先生もカチンと来るわ。あなたは、水城アユミと同じステージに立って、比べられるのが怖いだけじゃない。向こうは右肩上がりのイキのいい若手。あなたは人気も声も落ちてきたロートル。前みたいに歌って踊るのもきつそうに見えるわ。それを認めたくないだけじゃない？ 水城アユミと歌うと、それもはっきりするでしょうから。あなた、自分の弱さに目を向けなさい。自分の弱さも取り込んで歌うってもんでしょう、歌手は。それに、以前のあなたなら、水城アユミみたいな歌手と並んで歌えるなんて楽しくて大喜びだったんじゃないかしら？ ワクワクしたんじゃないかしら？ 何逃げてんのよ。肉体の衰えなんかよりそっちの方が100倍みっともないわよ。ま、でもワクワクした気持ちもないってんなら、どうぞどこへでも尻尾を巻いて逃げちゃいなさいよ。しょせんはその程度の歌手だったってことでしょ。この仕事、ワクワクした気持ちがなくなったらおしまいよ」とまくしたてた。
じっと聞いていたスズ子はハッとしたような表情を浮かべ、「もっと…もっと言うてください！ 茨田さんにボロカス言われてるうちに、ワテ、何や、ワクワクした気分になってきてしまいましたわ！」と目を輝かせ、「何や、水城アユミの歌まで聴きたい気分になってきました！」と答えた。りつ子は「あなた本当のおバカ？」と呆れた。
りつ子といえば、初対面したスズ子を「じゃがいもみたいな顔」と表現するなど、これまでも「毒舌キャラ」として親しまれてきたが、そのなかで核心をついた愛ある助言を送り、スズ子にたびたび大きなヒントを与えてきた。物語が大詰めに向かうなか、その集大成とも言えるようなアドバイスに多くの視聴者が心を震わせ、Xには「核心を突く直言は聞いていて本当に気持ちがいい」「茨田さんのダメ出しに愛があって感動」「『自分の弱さに目を向けなさい。自分の弱さも取り込んで歌うってもんでしょ、歌手は』りつ子さん、さすがだなぁ…涙出る」などのコメントがズラリ。一貫してスタンスを変えないりつ子に「最後までブレないりつ子様が救い」「強烈な言葉をくれた。ブレない茨田りつ子がカッコよすぎる！」「りつ子様はブレない」「いつもハッキリしてカッコイイ！」「キターー！ツンデレりつ子」などと書き込む視聴者もいた。
また、大急ぎで駆け出したスズ子に呆れながらも、後輩がやる気を出したことに喜んだりつ子に「茨田りつ子さんの笑顔が今のところ優勝」「ワクワクに去るスズ子みて、ちょいと見せるりつ子さんの笑顔好き」というコメントも寄せられた。
