なぜ急に「楽しそう」になった?
近年の『ONE PIECE』で読者を特に驚かせたのが、ルフィが食べた「ゴムゴムの実」が動物系の「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル『ニカ』」だったことではないでしょうか。ルフィ「ニカ化」は、「唐突」「後付けでは」とも言われていますが、伏線と思われるような要素も過去にいくつかあるという説も出ています。
そのひとつが、65巻のSBS(質問コーナー)にて「なぜ主人公ルフィの能力を弱そうなゴムの能力にしたのか?」という質問に対しての尾田栄一郎先生の回答です。
尾田先生は「ルフィには一番ふざけた能力を選んだ。どんなに深刻な場面でも、ルフィは伸びたり膨らんだりふざけるチャンスをくれる。そういう漫画が描きたかった」と回答しました。その後ゴムゴムがニカであることが判明すると、作中でも「世界でもっともふざけた能力だ」というセリフが出てきます。尾田先生の言葉は、ニカの能力を示唆していたものかもしれません。
その他にも、「ヒトヒトの実を人間が食べたらどうなるのか?」という質問に対して、尾田先生は「人と成る」と回答しました。実は神などが人の姿を借りてこの世にあらわれるという意味で、「人に成る」「人と成る」という言葉を使うことがあります。こちらも、太陽の神・ニカが覚醒することへ繋がっていると考えられます。
特に大胆な考察では、「1話からニカの伏線はあった」というものもあります。1話でゴムゴムの実をうっかり食べてしまったルフィは、悪魔の実の副作用で泳げなくなってしまったことを知りショックを受けていました。しかし、そのすぐ後の魚屋さんでのシーンでは、満面の笑みを浮かべゴム人間になれたことを喜んでいます。
魚屋さんのおじさんも「近頃一段と楽しそうだな」と、悪魔の実を食べた後のルフィが「明るくなった」「楽しそうに見える」旨の発言をしていました。太陽神・ニカの詳細はまだまだ不明ですが、「人々を笑顔にする解放の戦士」と言われていることから、ネット上では「この明るさはニカの実を食べた影響なのでは?」「いくらネアカのルフィとはいえ、わけの分からない実を事故的に食って『近頃一段と楽しそう』はおかしい」「海賊になりたい子供が泳げなくなったら普通もっと落ち込むと思うんだが。切り替えの早さはニカの影響か?」との意見も出ています。
さらに1話のタイトルは『ROMANCE DAWN』(冒険の夜明け)となっています。「夜明け=太陽が昇る」と言い換えることができ、太陽の神であるニカの伏線と考えることもできるでしょう。
「ゴムゴムの実=ヒトヒトの実 幻獣種 モデル『ニカ』」など細かい部分までは最初から考えていなかったとしても、いちばん肝心な主人公が食べる悪魔の実ですから、「ゴムになる能力」以上の秘密の力があることを隠していた可能性はありそうです。まだまだ謎の多いニカの全容が明らかになっていけば、また過去の「伏線(?)」も話題になるかもしれません。