【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。3日に全日空(ANA)の国内線でシステム障害が発生し、55便が欠航するなどおよそ2万7000人に影響が出るトラブルが起きました。原因は国内線の旅客システムのデータベース2つのうち1つが、予期しないエラーでフリーズし、同期しているもう1つも停止したためだったとのことです。春休みということもあり空港は大混乱となってしまいました。
僕も昨年に発生した、大規模な通信障害の影響をモロに食らいました。電話が全くつながらなくて仕事の連絡はもちろん、子供の送り迎えの連絡も取れないし非常に困りました。それだけシステム障害は僕らの生活に直結する話。そこで今回は矢口史靖監督の「サバイバルファミリー」(2017年)を紹介したいと思います。「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」といったヒット作を手掛け、もしもの世界を描くのが非常にうまい監督です。
都内のマンションに住む4人家族の鈴木家。主人公で会社員の鈴木義之を小日向文世さん、妻の光恵を深津絵里さんが演じています。ある日、謎の大停電が起き、電力供給がなくなるところから物語は始まります。電気がなくなった、もしもの世界を描いているわけです。
電気だけではなく電池も使えず、人々はろうそくを使うなど自給自足の生活を強いられることになります。ネットはもちろん、テレビもラジオも使えないので情報も遮断されます。そんな中で「西日本は電力が生きている」というウワサを耳にします。飛行機や車も使用できず、鈴木一家は自転車で光恵の実家がある鹿児島を目指すことになります。
コメディー要素もあり、作品として楽しめることはもちろんのこと、混乱した状況下で人々が取る行動のシミュレーションがすごくリアルに描かれている。スーパーでの買い占め、水や食料の転売。さらに非常時の心理や「人間にとって本当に大事なものって何なの?」といった鋭いメッセージがあります。
僕も通信障害を食らって大変な思いをしたんですが、恥ずかしながらノド元を過ぎれば熱さを忘れるで、その後の対策は…(笑い)。僕は現金を持ち歩かず電子マネーを利用しています。だけどそれだけに頼っていると、システム障害が起きるとどうしようもなくなる。現金を少しでも持ち歩くなど普段からの心掛けが必要です。非常事態のシミュレーションとして本作を見ておくのも良いのではないでしょうか。
☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。