誕生日の1打席目に、奏でてもらえる「バースデーコール」はやっぱり特別な感じがします。シーズン中に誕生日があり、かつ1軍にいないと聴けません。昔は追い込まれたくないという気持ちから聴いている暇もなく打っていましたが、今年は落ち着いて試合に入れるようになり、打席で聴ける余裕がありました。そういう変化や成長は感じますね。
僕がドラフト指名された18年、近藤さんは24歳から25歳になる年でした。立ち居振る舞いとかを見ていても、半端じゃなく年上に感じていました。覚えているのは、僕が高卒3年目だった21年。近藤さんはずっと長打を増やそうとガンガン打球を打ち上げて、スイングも超強く振っていた。ただ、その年は打率・298で、5年連続打率3割を逃したんです。
その年、近藤さんに「記録は気にならないんですか?」と聞きました。すると「全然気にしない。もっと長打を稼げないと選手としての価値は上がっていかないし」と話しているのを見て、本当に凄いなと思ったんです。近藤さんならもっと出塁できるし、高打率も残せると思うんです。ただ、多少リスクを取ってでもそういうところに挑戦する姿を間近で見て、考えが変わりました。
選手は無意識に自分を“ラベリング”してしまうと思うんです。例えば打率が低くて長打が多いタイプとか、打率を稼げるけど長打は少ないタイプとか――。特にプロの世界に入って明確な役割分担をより感じる。僕も無意識に三振が多く打率が低くて、でも当たれば一発がある。そういうカテゴリーの中での自分でしかないと思っていましたが、近藤さんを見て変わり始めました。
やっぱり、もっと打者として究極なところを目指さないといけない。四球も増やせるようにならないといけないし、さまざまなアプローチをして、最終的には打率を上げて出塁率も上げないといけない。出塁率を増やした上で、長打をより伸ばしていく。そこに対しての「欲」は捨ててはいけないなと思いましたね。
僕がそうだったように、後輩って活躍している人の過程を見て「この人って尊敬できるな」と思ったり、「こんなに野球を考えているんだ」とか感じると思うんです。チームが勝つため、一番は自分が自分の目標を達成するために向かっている過程を見て、最終的に何かを感じてもらえたらそれ以上のことはない。そんな24歳になりたいですね。(北海道日本ハムファイターズ外野手)