文化庁は27日、移転先の京都で業務を始める。26日には京都市内のホテルで「祝賀の集い」が開かれ、出席した岸田首相は「移転を機に、京都を中心に新たな文化振興に取り組む」と意義を強調した。中央省庁の移転は明治以降初めて。
式典には、永岡桂子文部科学相や文化庁の都倉俊一長官、京都府の西脇隆俊知事ら約300人が出席した。首相はあいさつで、文化庁が京都で計画している文化財修理の拠点施設を「2030年度をめどに整備する」と表明した。都倉長官は「日本の宝を未来に伝え、新たな文化芸術を世界に発信する」と語った。
京都移転は、第2次安倍政権が「地方創生」の一環で2016年に決定。九つの課のうち文化財の保護などを担当する5課が京都に移り、東京に多くの関係団体がある著作権課など4課は移らない。
式典に先立ち、京都市上京区の京都府庁の敷地に昨年12月に完成した新庁舎2棟の内覧会も行われ、長官室や東京に残る職員とやり取りするテレビ会議システムを備えた部屋が報道陣などに公開された。
27日は新庁舎で銘板の除幕式が行われ、都倉長官ら約70人が業務を開始。引っ越し作業は大型連休中に本格化し、5月15日の移転完了時には全体の7割の約390人体制となる。