週刊少年マガジン(講談社)で好評連載中の人気ラブコメ漫画『彼女、お借りします』。大学生・木ノ下和也が、フラれた寂しさから「レンタル彼女」を利用したところ、まさに理想的な彼女・水原千鶴と出会い、物語がスタートする。作品には千鶴を含め個性溢れる4人のヒロインが登場するが、中でも和也と実際に付き合ったことのある唯一の“リアル彼女”ながら、闇の部分をのぞかせているのが七海麻美。アニメで演じているのは人気声優・悠木碧だ。7月にスタートしたアニメ第2期を機に、悠木に作品の魅力を幅広くインタビュー。4人のヒロインそれぞれの好きなところなどを聞いた。
【動画】好評放送中のアニメ「彼女、お借りします」
――2年前に放送されたアニメ第1期は大好評でした。当時の感想をお願いします。
悠木碧 第1期はアニメが始まる前からすごくSNSで話題になっていました。Twitterのフォロワー数も、番組が始まる絵からたくさんいて、、原作の力をすごく感じました。満を持してアニメ化といいますか、アニメ化を待望してくれていたんだなっていうのは、アニメから関わった我々も、すごく感じさせてもらいましたし、ゆえにアニメになった時に、もっと好きになってくれたらいいなと、取り組んでいたと思います。麻美はかなり立ち位置が特殊で、アニメーションでなかなか出会うことのできない、女の子のすごくリアルな策士ぶりが盛り込まれていました。みんなどこかで感じたことがあったんじゃない?という薄気味悪さもあって、私としては演じがいのある毎話だったなと思います。
――第1期から第2期で変化してくるポイントはどこでしょう。
悠木碧 策士な麻美ちゃんでも、千鶴と和也君の関係性の急速な深まりを妨害しきれていない部分がありますね。いろいろなヒロインが和也君にドキドキしているのに、やっぱり千鶴ちゃんとの関係性がどんどん深くなっていっちゃう運命感みたいなものがあります。麻美はグレーを取るのがすごく上手な子で、白か黒かどっちでもないからこそ、そこがずるいしうまかったんですけど、だんだんブラックなことをしていくといいますか、自分の手を汚さなければ止められない範囲に来たんだなと。麻美自体が焦って手段を変えてくるのは、なんなら「ホラーだな」と私は見ていました(笑)。
――各ヒロインの魅力を挙げるとどんなところになりますか。
悠木碧 更科瑠夏ちゃんとのシーンは、すごく好きです。たぶん麻美史上、最も苦手なタイプといいますか、彼女はまっすぐで純粋で、とにかく「好き」のパワーで押してくるし、絶対に引いてもくれないし、びびらない。麻美は基本的に策で挑んできた、魔法ばっかり使ってるから、パワー型に弱いというか。麻美の新しい面を見られたなというところでした。瑠夏ちゃんって隠す部分のない子といいますか、隠してもバレちゃうぐらい正直な子じゃないですか。それってとても素敵なことだから、瑠夏ちゃんを悪い子に見せちゃだめっという気持ちがあって、麻美がしっかりヒールを担当した方が瑠夏ちゃんの無垢さが際立つよなぁと思って演じました。ただ麻美も悪いことしているわけじゃないから、やりすぎもよくない。バランスはスタッフさんからヒアリングしつつ取り組みました。
――第2期のキービジュアルにもなっている桜沢墨についてはいかがでしょう
悠木碧 墨ちゃんは麻美とほぼ絡まないんですよ。第1期の最後の方とかで、スケートリンクのところはあったんですけど、第2期は本当にすれ違ってもないのかな?ぐらいな感じです。そのまま出会わないであげてほしいですよね(笑)。「こんな化け物ぶつけなくてもいいじゃない!」という気持ちでいます。とはいえ麻美のやり方はカウンター戦法が多いので、絶対に攻撃してこない墨ちゃんとのバトルは、なんだかんだ苦戦するのかなと思いました。私個人としての墨ちゃんの印象は、守りたいポメラニアン。収録の時に全員じーっと、墨ちゃんを見守っちゃうんです。そして彼女の健闘を見守っている時、心が一つになるというか。それが彼女の魅力だなと思いますね。絶対にみんな応援しちゃう分割収録だったので、今期はそうしてみんなで墨ちゃんを応援することはできなかったんですけど、一期の時の、全員が集中する墨ちゃんの収録は、すごい好きでした。なんか愛ですよね。墨ちゃんは声のボリュームが控えめなので、全員ことさら物音に気を付けつつ、でも心の中で「がんばれー、がんばれーっ」て一生懸命応援しちゃう。二期はバラバラに録っていても、墨ちゃんに向いている気持ちはきっと一つでした。
――千鶴とは第1期以上にバトルがあります。
悠木碧 千鶴が嫌いって人は男女含めて、だれもいないはずです。美しいけど努力家で、賢いけどちょっとかわいいところもあって、でも1期ってまだ彼女がすごく分厚いバリアを張っていた。和也だけでなく、誰に対しても。それこそ友だちにすらバリアがあって、ないのはおばあちゃんだけ。それがだんだん削れてきて、やっと2期でバリアが外れるのかな?ぐらいがお楽しみいただけるはずなんですが、その過程も決して都合よくはなくて、それがすごくいいなと思ったんです。千鶴みたいな子のバリアを、私はすごく硬派でいいなと思うけど、和也君からしたら都合よくないじゃないですか。すぐおれのことを好きになってくれたら楽だけど、そうではない。彼女が和也君のことをちょっとずついいなと思う理由が、とても人間愛的に描かれている。それをちゃんと感じられるのが、千鶴のよさです。本当に愛情深い人だからバリアが厚いというのが、一歩一歩にあって、そこが彼女のすごく好きなところですね。いいやつじゃないですか。誰に対しても、ちゃんとしているし、真面目でちょっと堅物なところがあるけど、そこも含めてめちゃくちゃいいやつ。友だちにしても彼女にしても、奥さんにしても母になっても、筋が通っていい人というのが見えていますから。
――レンタル彼女でキラキラしている水原千鶴と、大学にいる地味な一ノ瀬ちづる、どちらが好きですか?
悠木碧 私は一ノ瀬かなあ。あの感じの方が、友だちだったら絶対に付き合いやすいなと思いますね。彼女が本当は髪をといたら美しいことを、ちょっとだけ仲がいいから知れている友だちでいたい(笑)。一緒に温泉に行く機会があって、この子わざわざ地味なルックスに持っていっているけど、本当はすごくきれいな子なんだぞと、ちょっと仲良しだから知っているっていうの、いいですよね。一緒に服を選びに行ったりとか、普通に女子会したりして、これすごく似合うよとかやりたい。何着ても似合うんだろうけど。千鶴って麻美にとっては手に入れたくて、手に入らなかった強くてかっこいいものなんですよ。きっとあのまっすぐさにコンプレックスを刺激されるんですよね。私はその対比がすごく好きです。そうなれなかったけど、いい女でいたいっていう麻美の意地と、まっすぐいい女でい続けようと千鶴の描かれ方のギャップみたいなものがよくて。どっちもいい女を目指して生きているんで、かっこいいんです。正しいのはそりゃ千鶴なんですが、麻美にもいろいろな事情があるから。だからといって彼女がやったいじわるを擁護するつもりは全然ないです(笑)。
――最後にアニメ第2期を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
悠木碧 みなさん第2期までワクワク楽しみを募らせてきてくれたと思います。待っていただいた甲斐ある、すごく魅力的なヒロインたちが、そして和也君が。すごくエモいストーリーを、すごくエモい絵でお届けできる第2期に仕上がっていると思います。私たちが収録する段階でもかなり完成していまして、どのヒロインたちも、それこそ麻美のちょっと怖いシーンですら、魅力的でかわいいところがどのカットにも詰まっていました。きっと第1期より第2期で、みんなのことが知れて、好きになってもらえるんじゃないかと思います。ぜひ第2期もドキドキ、キュンキュンしてください!
(C)宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会2022