同コンサートは、昨年11月に胃がんのため69歳で亡くなったサックス奏者の父・まことさんを偲び、平原と姉・AIKA、そしてスペシャルゲストらが来年3月5日に東京・東京国際フォーラム ホールCで開催する。
平原ははじめに、まことさんが亡くなってからの1年を「とにかく大変でした」と回顧。「大黒柱がいなくなってしまったので、父の代わりにはなれないですが、一家の大黒柱になれるように踏ん張って、もがいて。苦しかったときもありましたが、今はだいぶ……いえ、まだ落ち着いていないですね(笑)」と気丈に振る舞った。
声をつまらせながら「まだ泣いてしまうことも多い」とも語った平原。「よく『そばにいてくれているような感覚になる』という話を聞いていたので、父が亡くなってから初めてステージ立つときに楽しみにしていたんですが、まったくそんな感じがなかったんです(笑)。でも、歌い始めたら今まで出したことがない声やニュアンスが出せて。そのとき、父はそばにいるんじゃなくて私の中にいてくれているんだと感じて、一気に心が軽くなりました」と笑顔を見せた。
まことさんとの関係性については「私にとっては愛する父であり、サックスプレイヤーとしての師匠でもあり。そんな親子関係でした」と話し、「我が家はまったく英才教育ではなく、『音楽をやりなさい』と言われたことがない。ただ、面白いことをしなきゃいけない家庭というか…。それこそ面白いことを言わないとご飯を食べさせてもらえないこともありました(笑)」と笑いも誘う。
「ただ、そういう環境がよかったんだと思います。自分で父の演奏する姿を観て、大人の本気の背中を観ることが一番の勉強になりました」とうれしそうに語り、「あるとき、父が『もっとサックス吹きたかったな』とつぶやいたことがあったんですが、私ももっと教わりたかった。父の分まで私が吹いていきたいですが、父のような吹き方ができないことも多くて、よく『パパどうやるの?』と1人でつぶやきながら練習しているんですよ」と現状も報告。
「立ち直ることはないと思う。ずっと悲しいまま。でも、悲しいと思えるということは父を忘れていないということだなと。悲しいことが幸せだと思えるようになりました」と伝えていた。
最後には「たくさんの方にご尽力いただいて開催することができます。思い出を語りながら、平原まことのオリジナル曲や参加した曲を披露します」とコンサートに言及。「こうやって開催することができて、父も絶対に喜んでくれていると思います。しっかりと盛り上げていきたい」と意気込みを語り、「寂しい気持ちでいっぱいですが、どんなときも弱音を吐かなかった父を見習って、私も弱音を吐かずに音楽と真摯に向き合いたい」と前を向いた。