本作は、『キリクと魔女』、『ディリリとパリの時間旅行』などで知られる現代フランスを代表するアニメーション監督、ミッシェル・オスロの最新作。時代の異なる3つの都を舞台に、知恵と勇気で自らの運命を変えようとする3人の王子の姿を描く。
解禁となった映像は、主人公が、地下牢の囚人と交流し、徐々に友情を結んでいく場面。中庭でボール遊びをしていた主人公は、地下牢にボールを落としてしまったのをきっかけに、囚人と言葉を交わすようになる。
「囚人さん、ボールを取ってくれませんか?」と声をかけるとボールが投げ返される。お礼を言ってボールを受け取りつつ、「取ってと頼むまでボールを返してくれないのはなぜなの?」と囚人に質問すると、「君の声を聞くためだ。歌うような声に元気付けられる」と囚人は答え、主人公の少年の声に自分の娘の声を重ね合わせ、娘のことを恋しく思い出している様子。「どんな子なの?」と尋ねると、「朝日のように美しく、優しい子だ。まるで天使の様だよ」と返ってきて、「一緒に遊びたいな」とつぶやく主人公。しかし、牢屋に閉じ込められ娘に会うことが叶わない囚人は「なんという絶望だ」と苦痛なうめき声をあげる。
新之助が演じる主人公のあどけない声は、美しき野生児の子供時代にぴったりとハマっており、吹替え収録に立ち会ったミッシェル・オスロ監督も「プロフェッショナルの仕事だった。素晴らしい!」と絶賛していた。
新之助の初吹き替えも堪能できる同映画は、古代のエジプト、中世のフランス・オーヴェルニュ、そして18世紀のオスマン・トルコ帝国へ、うっとりするような映像美とともに、歴史書の世界へと観客を誘う。
第1話「ファラオ」は、ルーヴル美術館とのコラボレーションで制作された、古代エジプト、クシュ王国の王子が上下エジプトを統一し、黒人初のファラオとなる物語。第2話は、理不尽な城主である父に叛逆した中世フランスの王子の物語。第3話「バラの王女と揚げ菓子の王子」は、千夜一夜物語に想をとり、イスタンブールが舞台の豪華絢爛なおいしい物語。いずれも、勇気と知恵を糧に、非暴力で自分の人生を逆転させていく王子の物語は、先の見えない不安を抱えて生きる現代人に勇気を与えてくれる。