市川團十郎の長女で舞踊家の市川ぼたんが5日、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(26日千秋楽)の夜の部「團十郎娘」に出演した。
女性が歌舞伎座で主演するのは、1962年の3代目市川翠扇(すいせん)以来、実に60年ぶり。1813年に7代目團十郎が初演した所作事で、ぼたんは美しく、力自慢のお兼を演じた。舞台は近江八景の一つの琵琶湖のほとり。花道から馬を引いて登場し、長唄に合わせて愛らしく繊細に心情を訴えかけた。
お兼(ぼたん)が純朴な様子を見せるなか、若い者たちが打ちかかってくるが、長い晒(さらし)を華麗に翻し、その軽快な様子に場内は万雷の拍手に包まれた。