今井は17年に山田監督が脚本・演出を手掛けた音楽劇「マリウス」の東京公演で主演を務めた。番組スタッフから「山田さんの思う、今井翼さんの魅力ってどんなところにありますか」との質問に、山田監督は「本人を目の前にしてなかなかね」としながらも「簡単に言えばよ、素敵だよね、ルックスがね。それと声が好きよ。僕なんかうらやましいような声だね。シーンと響くようなね、その2つがあれば、半分ぐらいいいんじゃないの。役者としては。それが大事だよな」と回答した。
「ありがとうございます」と喜ぶ今井に、山田監督はさらに「それと小ざかしく芝居を工夫したりなんかしない、って言うのかな。できないんじゃないかもしれないけど、しない」と指摘。今井は「できないです」と謙虚に語ったが、山田監督は「それはね、もしできないとしたっていいとこだな。したくてもできないっていう人の方がいい役者になれるんじゃないのかな」とも語った。
その理由としては「例えば、寅さんに出てくる笠智衆っていう人はね、戦前からの日本映画を代表するスターだけれども、どの映画でもいつもおんなじ顔で物言いをしたしね。『ああ、またこの人に会えた』って言うね。笠智衆っていう人間、それがとても大事なことなんじゃないかな」と説明した。
続けて「君だってこれからいろんな役をやらなきゃいけないしやるべきだと思うけど、それを通して今井翼って言う人間がずしーんってあるって言うかな、演出が手がかかるぐらい不器用であってほしいと思うね。器用にいろんな役をこなすって言うことよりも、ゆっくりゆっくり一つの役を考えて、ゆっくり実現していくというような、そういうタイプの俳優であってほしい」とし、「そういうタイプになれることが今井くんって言う素材を一番生かす道なんじゃないか、そんな風に僕は思いますけどね」と語った。