小学館「セクシー田中さん」調査結果 日テレとの数々のズレを報告「日テレ側の対応は異例」と批判も

 小学館は3日、昨年10月期放送の日本テレビドラマ「セクシー田中さん」原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が急死した問題について、調査結果を公表した。

 報告書には日テレとの“ズレ”の数々が記された。

 小学館の担当者は日テレ側に「芦原氏が自分の作品を大切にする方であり、作品の世界観を守るために細やかな指示をするいわゆる“難しい作家”であるから、原作に忠実で原作を大事にする脚本家でないと伝えた」という。だが、報告書によると、日テレ社員は小学館の特別調査委員会に「“原作を大事にしてほしい”という趣旨はお聞きしましたが、脚本家はどういった方がいいという話までは出ていなかったと記憶しています」「“当然、原作に忠実にする”という発言はしておりません」と回答した。さらに、脚本家は「原作を大事にしてくれる人でないと難しい」などの小学館担当社員が注意した事項について聞かされていなかったとした。

 7月27日に日本テレビに送信した契約書案に対しては、同社から9月26日に修正案が戻され、その中については「改変についての原作者の承諾に関し、小学館提示の原案では小学館と原作者双方の同意が必要としたものを、日本テレビは、日本テレビとして合意を得るべき相手を小学館に限定する修正依頼があった」という。そして「原作者の承諾は不可欠であるため、小学館を介して原作者の承諾を得ることに修正し、社員Jは部内の承諾を得たうえ、10月23日に日本テレビに送った」と報告した。

 また、調査結果の中で「本事案では芦原氏が何度も同じ指摘をしないと原作に沿った脚本の修正がなかったことと、日本テレビ側が芦原氏の修正意見について反論して、従前の脚本を維持しようとしたことがあり、芦原氏や社員Aに大きな負担を強いた」と指摘。「この度、本件脚本家の回答によれば、その大きな原因として、日本テレビ社員が、芦原さんの意向をふまえて小学館社員がアレンジやエピソードの入れ替えなどをしないように何度も強く求めたことを本件脚本家に伝えていなかったり、監督などの制作陣の意見を反映したりした可能性がある」とした。

 特に第8〜10話のドラマオリジナル展開では何度も双方がやり取り。小学館は「芦原氏の詳細プロットの改変を極力避けて欲しいとの小学館の希望が本件脚本家に伝わっていなかった可能性が高い」と記した。

 そして報告書は「日本テレビは、本来、芦原氏の意向を本件脚本家に伝え、原作者と脚本家の間を調整するという役割を果たしていない可能性があり、ドラマ化の経過や芦原氏の意図を十分理解しなかった本件脚本家が強い不満を抱き、SNS投稿に至ったものと思われる」と、日本テレビ側の調整不足を指摘した。

 「日本テレビ側が原作者の意向を代弁した小学館の依頼を素直に受け入れなかったことが第一の問題であるように思われ、こうした場合にどう対応するかの問題は残る」とした。一方で、「最終的には芦原氏の意向にかなったドラマが完成した」とした。

 再発防止について「本事案における日本テレビ側の対応は、異例を思われる」と批判。「何度修正を申し出ても対応しない場合はどうするかについても対応が必要である」とした。そして「作家や編集者を孤立させない」とし「万が一にも、作家や編集者がSNSによる論争の矢面に立つようなことが生じた場合は、作家や編集者が孤立しないように、事案に応じて、会社が楯となって情報発信することを検討することが望ましい」とした。

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