将棋の藤井聡太五冠(19)=竜王、王位、叡王、王将、棋聖=が6日、大阪・関西将棋会館で指された第70期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦で、先手の大橋貴洸(たかひろ)六段(29)に129手で敗れた。昨年の69期に続いて初戦敗退となり「非常に残念です。他の対局もあるので、内容に関しては修正していきたい」と悔しさをかみ殺すように話した。
今年度は五冠防衛に加えて二冠(王座、棋王)奪取なら、八冠のうち名人を除く七冠まで狙えた藤井だったが、永瀬拓矢王座(29)への挑戦には遠く及ばなかった。藤井の王座戦の本戦は66期(18年)のベスト4が最高。67、69期はともに初戦敗退と相性が悪い。68期は2次予選で敗退。その相手が2016年プロ入りの同期・大橋だった。
やはり天敵だ。藤井は大橋との初対戦から2連勝後、3連敗。複数対局では深浦康市九段(50)=1勝3敗=と並び、負け越しを許していた。
約2年ぶりの対局は1時間9分の長考もあるなどじっくりと指したが、時間配分に悩み、1分将棋に陥って劣勢に。その時点で大橋は1時間6分も余らせており、精神的にも窮地に。大橋が長考すると読んで、トイレへ駆け出すスリリングな場面もあった。「自信のない局面が多い将棋だった。終盤も難しいと思っていたが、足りない形になってしまった」と話していた。