この日の会見には出席しなかったものの、櫻坂46は2年ぶり3度目の出場。昨年は選外で涙をのんだが、見事に復活した。この復活劇は、紅白の歴史をひと解いてみると、かなりのレアな例だった。
女性グループが紅白に1度落選した後、復活で呼ばれるケースは非常に珍しい。過去にさかのぼってみると、AKB48(07年、09〜19年)、SPEED(97〜99年、08年)、TWICE(18〜19年、22年)、ピンク・レディー(77年、89〜90年、00年)と4組しかいない。モーニング娘。(現モーニング娘’23)は「LOVEマシーン」のような国民的大ヒット曲もありながら、07年まで10年連続出場後は、1度もお呼びがかかっていない。AKB48も今年で4年連続の発表外。LITTLE GLEE MONSTERも、20年に呼ばれたのが最後になっている。
理由の一つに、“太く短く”な活動になりがちな女性グループの宿命がある。40代までアイドルとして活動できる男性グループとは違い、女性グループは長くても20代後半〜30代前後で活動にひと段落が付いてしまうケースが多い。元AKB48の秋元才加は在籍当時、「女性アイドルも男性のように息の長い活躍ができるようになりたい」と願いを口にしたことがあった。
一方で、この1年の櫻坂46を振り返ってみると、シングル売り上げでは「桜月」が34・9万枚、「Start over!」が43・9万枚、さらに最新の「承認欲求」が45・0万枚(すべて初週、オリコン調べ)。V字回復とはいかないまでも、きれいな右肩上がりだった。しかも、「承認欲求」はグループ史上最多の初週売り上げだった。
さらに、7月にはフランスで開かれた「Japan Expo」で海外へも初進出。社会を風刺したメッセージ性の高い楽曲は、ライバルがひしめき合う女性グループの中でも独自性を強く打ち出している。紅白の大塚信広制作統括は「今年は海外でもライブに出演したり、精力的に活躍している印象があります」と評価した。
キャプテンの松田里奈は、発表を受けてブログを更新。「去年は悔しい思いもしましたが、その経験があったからこそ得られたものもあるのかなと思います。紅白がすべてではないけれど、飛躍する年にできた、と少しは思ってもいいのかなと思えました」とつづった。
紅白から漏れると、視聴者からオワコン(終わったコンテンツ)のレッテルを貼られてしまいがちだ。しかし、櫻坂46の見事な“返り咲き”とそのプロセスは、岐路を迎えた女性グループにとって、復活の大きなヒントになりそうだ。