学芸員の「推し愛」ラップ対決…岡山県内6館から来月集合

学芸員の「推し愛」ラップ対決…岡山県内6館から来月集合

昨年開催されたラップバトルの様子。挑戦者はリズムに乗せて「推し」への愛を表現した=県立美術館提供 【読売新聞社】

(読売新聞)

 普段は美術館などで裏方として働く学芸員が、リズムに乗せて美術作品や文化遺産への愛をぶつけ合うイベント「学芸員ラップバトルトーナメント」が3月2、3日に岡山県立美術館(岡山市北区)で開催される。昨年1月に開催されて話題となり、待望の2回目。若年層を中心に美術館に興味を持ってもらい、集客につなげるのが狙いだ。(岡さくら)

 「備前焼の魅力は何? 釉薬ゆうやくを使わない、絵も描かない。土の力、炎の力」

 昨年1月、普段は古典芸能の鑑賞会などで使われる同館のホールで、観客約180人が勢いのある言葉の応酬に見入っていた。

 林原美術館(同)の橋本龍さんが能面に和装姿で備前焼についてリズミカルに熱く語ると、対峙たいじする岡山市立オリエント美術館(同)の四角隆二さんが「備前焼はいいけれど 備前刀は手が切れそう」と返し、会場は大いに盛り上がった。

 「突発的に生まれたイベントだったけれど、予想外の反響だった」と語るのは県立美術館の学芸員で、企画担当者の鈴木恒志さん(27)。

 堅いイメージのある美術館とラップバトルという意外性のある組み合わせに、開催前からSNS上で話題となった。当日の様子も多くのメディアが取り上げ、後日、参加した倉敷考古館(倉敷市)などにはラップバトルをきっかけとして訪れる人もいたという。

 企画したのは、音楽イベント会社「遊覧座」(東京)。2022年夏頃、県立美術館でのイベントを考えていた同社の斗沢将大代表取締役が、会食の席で仏像や仏画について勢いよく語る鈴木さんの姿を見て、「この姿をラップで表現したら面白いのでは」と発案した。どうせ採用されないだろうと企画書の端に書いたラップバトルの案が、美術館側の目に留まり実現したという。

 2回目の開催は、注目を集めた前回が終わってすぐに検討していたという。より美術館の集客に結びつけようと、今回はオリジナルTシャツ(税込み3800円)を用意。後日、Tシャツのタグを持って施設を訪れると記念品と交換できるという仕組みを盛り込んだ。

 県内から参加する学芸員を募り、倉敷市立美術館や笠岡市立竹喬美術館など6館の学芸員らが対戦する。2日間実施し、初日に予選、2日目に前回優勝者の橋本さんと、予選を勝ち上がった挑戦者がトーナメント形式で戦う。

 ラッパーとしても参加する鈴木さんは「ラップを学ばないまま素人がやるのは失礼にあたるのでは」と遠慮しつつ、「作品の面白さや魅力を自然体の言葉で伝えるという点では、ラップはギャラリートークと共通している」と語る。体調不良で前回は欠場したが、今回は前回分の思いも込めて専門分野の平安時代の仏画の魅力などを伝えるつもりだ。

 県内各地の美術館などは若年層を中心とした集客が課題となっている。ラップバトルで各館のPRや県全体の美術館の盛り上がりにもつながればと期待を込める。鈴木さんは「学芸員は自分の専門について語れば負けないという誇りがある。そのぶつかり合いを少しでも面白いと思ってもらい、気軽に美術館に足を運んでほしい」と語る。

 観覧券は各日1000円で、2日分購入する場合は1500円。定員200人で、県立美術館受付で販売している。電話での申し込みも可能。問い合わせは同館(086・225・4800)。

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