奥田瑛二”稀代のプレイボーイ”が愛娘・安藤サクラのために体を張った「妻同伴のマスコミ対策」

 今、最も旬な父娘といえば奥田瑛二(73)と安藤サクラ(37)だろう。安藤は先月開催された「第76回カンヌ国際映画祭」に是枝裕和監督(61)の最新作「怪物」の主演女優として登場。同作は2日から日本で公開されて大きな注目を集めている。父の奥田も、4度目の出演になったNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」で主人公が働く印刷工場主を情感たっぷりに演じ、円熟したいぶし銀の活躍が評判になっている。

 筆者は今から二十数年前、奥田から「直接会ってお話ししたいことがある」と連絡を受けたことがある。当時、女性誌の記者だった筆者は、“希代のプレーボーイ”と称されていた奥田の隠された女性関係を丹念に調べ上げ、彼の家族を裏切るような不貞について何度も記事にしていた。

 奥田からすると、そんな筆者は“天敵”のはずだが、なぜか「話し合いの席を設けてほしい」と求めてきた。通常、現場記者と取材対象のタレントが顔を合わせることは、トドメを刺す直撃取材の時以外はない。

 しかし、当時の担当編集デスクに「奥田側の切迫感がハンパないから……」と説得され、筆者も渋々同席することにし、数日後、指定された東京・銀座の某レストランの個室に出かけた。そこには奥田と、その隣に妻の安藤和津(75)がいて、夫の不倫に関する話題の席なのに、安藤が終始笑顔を絶やさずニコニコしていたことに驚いたことを鮮明に記憶している。

 そして奥田は、初対面にもかかわらず、当時取り組んでいたドラマの話や、筆者が好きだった映画の裏話、松田優作との“不仲”の理由について話してくれた。まるで何かのイベントの打ち上げパーティーのような和気あいあいとした雰囲気だった。

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「娘が学校に行きづらくなっている」

 奥田の本題は食後のコーヒーとデザートを見計らって切り出され、その瞬間、室内の空気が緊迫した。

「僕は何を書かれても怒らないし、身の潔白を証明しようとも思っていません。ただ、あなたの記事が原因で、娘のサクラが学校に行きづらくなっているのです。せめて娘が学生生活を送る間だけでも記事をセーブしてもらえないだろうか……」

“サクラ”とはもちろん安藤サクラのことだ。一言一句正確ではないが、おおよそこんな内容の言葉を、筆者を睨みつけるように話す奥田に少しだけ意外な一面を見た気がした。当時、安藤サクラは、港区の実家から地下鉄とJRを乗り継いでお嬢さまが多い有名私立校に通っていたのだが、電車の中吊り広告に父の名前が大きく書かれていることに恥ずかしい思いをし、同級生に揶揄され、実際に学校を休んでしまうこともあったという。血走った目とは裏腹に、穏やかに説明しながら丁寧に頭を下げる奥田……。筆者は、“家族をも顧みない希代のプレーボーイ”という見聞と全く違う奥田の態度を見て言葉を失ってしまった。

■「正直な気持ちを俳句にしたためてほしい」

 即答できずにいた筆者とデスクに、奥田は「じゃあそろそろ、音楽でも聴きに行きましょうか……」と、近くのライブハウスに席を移すことを提案。妻の安藤は帰り、男3人になり、ほろ酔い気分のデスクが「わかりました。しばらく記事はお休みしますね……」と漏らすや否や、奥田は私たちを3軒目の銀座7丁目の“隠れ家みたいなバー”にエスコートしてくれた。有名な大御所と呼ばれるような芸能人や文化人を数多く常連に持つこの店で、奥田は筆者に盛んにコースターの裏に「今の正直な気持ちを俳句にしたためてほしい」と促す。

 故・瀬戸内寂聴さんから「寂明」という俳号を名付けてもらうほど俳句に明るい奥田と違い、俳句など書いたこともない筆者が筆を動かせずにいると「なんだ、記者をやってて俳句のひとつも書けないのか……ダラしないな」と独り言のようにつぶやいた。奥田も酔っていたのか、初対面の人間に“ダラしない”と言えるほど心を開いてくれたのかは定かではないが、「らんまん」の奥田を見るたび、筆者はあの時の言葉が蘇る。

(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)

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