大学時代にスカウトされモデルとして芸能界入りし、俳優として着実にキャリアを積んできた大沢。近年では、映画「キングダム」シリーズで筋骨隆々の将軍・王騎を演じるため20キロ近く増量し、激変した姿が大きな話題となっていた。
そんな大沢が尊敬してやまないのが、21年4月に77歳で亡くなった俳優・田村正和さん。「デビューして間もない頃にご一緒させていただいて、僕はまだ芝居もちゃんとできない感じで緊張しちゃって。自分が酔って、正和さんに絡むシーンがあって…台本見た瞬間、すっごい嫌で。やっぱり絡めないわけですよ。そういう、もの凄いオーラがあった」と、初対面時にはそのオーラに圧倒されたという。
田村さんに絡むことに躊躇(ちゅうちょ)してしまい、この撮影では何度もNGを連発。「何度も何度も本番をやるんですけど、正和さん、何も言わないで、何度でも当たり前に、ずっと付き合ってくれて。かといって“よかったね”、“悪かったね”とも言わない。ただ何度でも“いいよ、やろう”って」と、攻めるでも褒めるでもなく、ただただ付き合ってくれたと振り返った。
撮影の合間には、田村さんはスタジオの隅っこにある自分の席に座り、みんなとしゃべるわけでもなく、ただひたすらに台本を読んでいたと当時を回顧。「僕はデビューして1年以内だったので、衝撃で。“作品の主役をやる人は、こういうふうにいなきゃいけないんだな”って学んだ人」だという。
「今でも自分のイメージ像というのは、ベースはかなり正和さんのマネをしている感じはありますね。自分が30年やって、主役をやれるようになってからも、ベースは正和さんの存在が大きいです」と、今でもその存在は大きいといい、「出会えたことが、人生の財産」と感謝していた。