イングランド大会1次リーグで対戦した優勝候補の南アフリカに対し、日本は互角以上の戦いを展開。3点を追う試合終了間際、敵陣深くでペナルティーを得た日本は、PGで同点を狙いに行かず、スクラムからトライを狙うという勇気ある選択をして成功。34―32で大番狂わせを演じた。
実は、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の指示はPGだったという。堀江は「エディーさんは怒ってましたからね。上(のブース)では“キックで点数取りに行け”と言うんですけど、下(グラウンド)の温度感は、向こうイエローで1人少なくて、“スクラム狙いに行こう”って。その時リザーブで出てきたプロップがあんまり強くなくて、“絶対行けるぞ。イケイケムードで、攻めでしょう”って」。HCの指示に背いての大ギャンブルだった。「エディーさんは上から“キック狙え”って言ってるんですけど、それを無視してぐっぐってこらえて…。スクラム組んだ瞬間に、自分が付けているトランシーバーとか、“こんなん付けてる意味ない!”って、バーンって(外した)」とも明かした。
MCの「おぎやはぎ」矢作兼が、「日本のラグビーが強くなったのはエディーさんのおかげってイメージあるけどさ、実際に大事なのを勝ったのはエディーさん無視してるのな」と笑うと、堀江は「放送できるか分からないですけど…」と苦笑い。「エディーさんは、勝った時はちょっとニタニタしてた。他のスタッフはガッツポーズしてだいぶ喜んでるんですけど、エディーさんだけニヤついてて、複雑な(笑いだった)」と、舞台裏を明かしていた。
日本ラグビー史に残る歴史的勝利に、列島は沸き立った。しかし、堀江らは「日本の情報がそんなに入ってなくて。分からない状態で」と、フィーバーになっていることは知らなかったという。帰国すると、空港には多くの報道陣や、大殊勲を称えるファンが大挙、押し寄せてパニック状態に。「ファンの方がばーっときて、カメラもいっぱいあるし。そこでやっと、すごいことしたんやな?みたいな」と振り返っていた。