■孔明と小林に嫌な予感が…
同ドラマは、「ヤングマガジン」(講談社)で連載中の累計発行部数160万部を突破した同名コミックが原作。魏・呉・蜀という3つの国が天下の覇権を争っていた中国三国時代の名軍師・諸葛孔明(向井)が現代の渋谷に若かりし姿で転生。歌手を目指す英子(上白石)を、軍師のごとく成功に導いていくサクセスストーリーだ。
孔明が仕えた蜀の皇帝・劉備をディーン・フジオカ、英子がバイトするライブハウス「BBラウンジ」のオーナーで三国志と諸葛孔明の大ファンである小林を森山未來が演じる。
最終回直前となる第9話。超大型音楽フェス・サマーソニアのタイムテーブルが発表され、英子のステージのあとがケイジだと知った孔明と小林は、嫌な予感がした。
■ケイジが恨んでいた人物とは
英子にテレビ出演オファーがきた際も、裏で指図していたケイジ。歌って踊れるスーパーアーティストとして人気を博す彼が、なぜアマチュアの英子に立ちはだかるのか。その理由は小林にあった。
インディーズ時代のケイジが売り込みに来たとき、小林は2人組ロックバンド、イースト・サウスに影響されていることを見抜き、「袁術がいくら皇帝のまねをしようと、袁術は袁術なんだよ」とお得意の三国志で例えつつ、「要するに本気でやるなら自分の音楽突き詰めろってことよ」とアドバイスしていた。
「人のまねしてちゃ、誰の心にも届かないよー」。音楽を愛する小林の言葉はきっと正しい。だが、ケイジは恨みを抱き、それがいまの活躍につながる糧になっているという。
孔明は「あなたの宣戦布告、謹んでお受けいたします」と挑戦状を出し、戦いの火ぶたが切って落とされた。
■関口メンディーが憎らしさ満点の好演
孔明は、活動休止中のイースト・サウスの2人、ベースの南房(休日課長)とギターの東山(石崎ひゅーい)がケイジのゴーストライターをしていることをつかんだ。
一方、ケイジは英子たちの仲間入りしていたKABE太人(宮世琉弥)の引き抜きを画策。孔明はそれを見越していて、KABE太人に「一役買っていただきたい」と話していた。KABE太人は、それで一度は断ったものの、ケイジが先輩ラッパーのダイナー(渡辺大知)を使った揺さぶりをかけたことで孔明と言い争いになり、ケイジ陣営に寝返りの様相を見せた。果たして、どこまでが孔明の計略なのか…。
それにしても、ケイジを演じる関口メンディーのヴィラン(悪役)ぶりがすごい。筋骨隆々な体で超ミニ短パンのファッション性もすごいのだが、孔明や小林の前での高笑いに始まり、大手広告代理店を営む父親の権力と財力を武器にした立ち回り、イースト・サウスを始めとする周囲の人々への高慢な態度など、憎らしい気持ちが沸々と湧いてくる。
SNSには「前園ケイジがちゃんとラスボスしてて良いね」「前園ケイジ存在感ありすぎ」「ケイジ卑怯やな」といった声が上がった。
ラストで、ケイジはさらに、父親の会社の系列らしき不動産会社の社員をBBラウンジに送り込み、立ち退きを迫った。その場は、孔明が「借地借家法」をたてに追い払ったが、それでケイジの手がゆるむはずはない。
三国志のなかのエピソード、赤壁の戦いでは“東南の風”が鍵となる。本ドラマでは東南=イースト・サウスの2人が風を巻き起こすのか。次回、11月29日(水)の放送が最終回となる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部