■「半沢直樹」でも活躍 役作りのモットーは?
アーティストとしては毎年全国ツアーでファンを魅了し、大ヒットした日曜劇場「半沢直樹」(2013年ほか)や「ドラゴン桜」(2021年、ともにTBS系)などで俳優としても活躍する。
インタビューで見せる素顔はフランクで、「半沢直樹」で共演した堺雅人について「マーくん(堺)は“礼儀正しい仏像”」「現場の待ち時間でも、いつも目を閉じてほほ笑んで、ずっとブツブツとせりふを練習されていて、それが僕にとってはありがたみのある仏像のような」と舞台裏エピソードを明かすなど、トーク上手で盛り上げた。
強烈な個性を発揮している印象だが、役作りのモットーは意外にも“監督の指示に従うこと”。「指示がない時はのびのびと演じて、指示がある時はその通りに動く」「音楽活動では主体的に動けているので、俳優活動に関しては客観的になろうとします」と話し、演出の一部に溶け込むことに徹する姿勢を明かした。
■ミッチーが実践する“愛される努力”
どんな質問にも楽しげに答える及川。林先生がそのサービス精神に言及すると「サービス精神、言い換えると“愛される努力”かな。そんなに自分だけに都合のいい世界ってないから、せっかくの出会い、せっかくの時間、せっかくのチャンスだったら、そこで全力で愛されようとしますね」と打ち明けた。
愛され力の原点は、少年期にあった。「いい意味でも悪い意味でも目立っていた」という子ども時代、周囲の妬みの対象ともなった。「仲間外れですね。その時はハードでした、つらかった。初めて死にたいっていう感情を抱きましたね」という。
周囲から疎外された苦しみは、受験勉強に打ち込むことで打ち消した。「受験勉強というナイスタイミングで別の活路を見出したというか、うまく逃げられた」と当時を振り返り、「乱暴な言い方をしてしまえば、本当につらかったら逃げればいいと思うんです。やっぱり、場所を変えるっていいですよね」としみじみ語った。
■「1対3000じゃ嫌だった」
現在の俳優・アーティストの及川光博は、そうした経験を原点に“愛される努力”を意識して重ねる中で作られた。ワンマンライブでは構成・演出・グッズ考案まで自ら行い、「演出・プロデュース含めましてライフワークですね、ワンマンショーは」というほど、情熱を傾ける。
“王子様キャラ”で知られるが「(王子は)1998年にやめましたね、30歳前後の時に」とサラリと告白。「(続けていたら)役の幅も広がらないし、飽きられちゃう。自分で作り出したキャラクターが自分の首を絞めることになる。やはり本当の自分らしさって、隠していてもにじみ出てしまうものだと思うので」と素直な思いを口にした。
だが、ファンにとっては今も王子様。「3000人お客さんがいたとして、1対3000の向き合い方じゃ嫌だったんです。1対1×3000、それをどうやって実現するか」という徹底したサービス精神のもと、ライブは今も“胸キュンアーチェリー”や“遠隔ハグ”“遠隔あごクイ”など、客席のファン一人一人と身振り手振りでコール&レスポンスするオリジナル演出で盛り上げる。
林先生から「スタジオに中島健人っていう“現・王子”がいるんですけど…何かアドバイスを」と振られると「ケンティー! 王子やるならとことんやれよ」と輝くミッチースマイルを披露した。
■「笑顔を作るだけで楽しい気持ちになる」
最新アルバム『気まぐれサーカス』に込めた思いを「昨今の風潮の中で、皆さんが笑顔になるきっかけになればいいなという楽しいアルバムですね」と語るなど、“笑顔”を大事にする及川。
「“表情フィードバック”っていう言葉があって。全然楽しくない時でも楽しそうな顔をするんですよ。そうすると神経や細胞、筋肉が反応して脳をごまかすんですね。だから笑顔を作っているだけでも楽しい気持ちになる。だから笑顔って本当に大切だと思う」といつも笑顔の真意を語り、インタビューの最後は「じゃあみんな笑顔でね! ミッチーでした、チャオ!」と“ミッチー節”で締めくくった。