小説家としても活動する3人グループ・NEWSの加藤シゲアキ(36)が24日、25日に発売する最新作『なれのはて』(講談社)の発売記念会見を都内で実施した。
直木賞候補となり、吉川英治文学新人賞を受賞した『オルタネート』に続く今作は、1万字のプロットから始まり、構成をじっくり練り上げた。原稿に向き合った期間は約3年で、書籍447ページ、38万字を超える超大作となっている。
物語のきっかけになるのは、終戦前夜に起きた日本最後の九州と言われる秋田・土崎空襲。やるせない人間の業と向き合いつつ、力強く生き抜こうとする人々の姿を、1枚の絵のミステリを通じて描く。
「30代半ばの男性として書きたいもの、読みたいものを形にするのはどうだろうと思って挑戦した」という今作。「事実として被害者のいるものを物語にしていいのか、という葛藤はありました」と執筆の日々を振り返り、「書くことで伝えられることがある、届くものがある」と信じて書き上げた。
前作が直木賞候補になったことに触れ、今作の手応えについて問われると「文学賞のことはなるべく考えないようにしています」と苦笑い。「機会があればありがたいことです。(前作では)候補にしていただき、先生方の言葉に勇気づけられてこの作品につながったのは間違えないので、感謝しています。恥じぬ作品にはなったと思っています」と力を込めた。
発売前重版の反響がある今作だが、メンバーには渡していないそう。「小山(慶一郎)くんは『読ませろ』って言っているんですけれど、『買え』って言っています。1番身近な人間に買ってほしいので、『10冊買って家族に配って』と言っています」とほほ笑ましいエピソードを明かした。

